
展望
2024年の年明けには、「明けの明星」金星が鋭い輝きを放っています。1月は西方最大離角となる水星と合わせて、内惑星が日の出前の空に揃います。春を迎えるころには夜明けの金星は見るのが難しくなります。一方、日の入り後の空では、明るい木星が春の盛りまで目を引くでしょう。
夏を迎えると、未明の空に土星、火星、木星が揃って見られます。8月15日には、火星と木星の接近が注目されそうです。惑星の見ごろの時間は、次第に深夜から夜の前半へと移っていきます。年末には、この3惑星に「宵の明星」になった金星も加わって、明るい惑星が東から西まで横断する夕方の空がにぎやかです。
2024年には、月の出直後に終わる半影月食が1回、日本からは見られない浅い部分月食が1回と、日本で観察条件のいい日食・月食は起こりません。注目したい天文現象として、夜空を移動する月に惑星や恒星が隠される現象「星食(掩蔽・えんぺい)」を挙げます。特に、12月には土星食、海王星食、おとめ座の1等星スピカの食(スピカ食は8月にも)と続けて起こります。プレアデス星団(すばる)の食もあり、月は明るいですが、星団の中をゆっくりと進んでいく様子がわかるでしょう。
流星数が多い三大流星群のうち、8月のペルセウス座流星群は、夜半前に月が沈むため、未明の時間帯には月明かりの影響がない好条件で見られるでしょう。