ほしぞら情報2024年12月
2024年2回目のスピカ食(2024年12月)
未明の空で春の輝星を月が隠す
冬至が過ぎ、冬本番を迎える12月下旬、未明の東の空には早くも春の星座が姿を現します。25日の未明、おとめ座の1等星スピカが月に隠される「スピカ食」が起こります。2024年に日本から見られるスピカ食は、8月10日の夕刻に次いで2回目です。
今回のスピカ食は日本の広い範囲で見ることができますが、渡島半島南部を除く北海道の大部分では食とならず、月とスピカの接近だけとなります。
この日の月は、下弦を過ぎて半月よりもやや欠けています。スピカは3時過ぎに、月の光っている側の縁(明縁)から月に隠されます(潜入)。この時は、スピカが1等星であるとは言っても、月面の強い輝きに負けて肉眼では視認するのが難しいかもしれません。双眼鏡や望遠鏡を使うと観察しやすいでしょう。 スピカが再び現れるのは(出現)、月の暗い縁(暗縁)からとなり、この時は月の欠け際から離れた暗い場所から、忽然と星が現れる様子が見やすいでしょう。
地点 | 潜入時刻※ | スピカの高度 | 出現時刻※ | スピカの高度 |
---|---|---|---|---|
仙台 | 3時24.4分 | 21.4度 | 4時06.8分 | 27.8度 |
東京 | 3時17.3分 | 20.9度 | 4時13.4分 | 29.9度 |
京都 | 3時11.6分 | 17.4度 | 4時13.8分 | 28.0度 |
福岡 | 3時06.2分 | 13.0度 | 4時13.2分 | 25.2度 |
那覇 | 3時06.0分 | 13.5度 | 4時14.9分 | 27.5度 |
※実際の時刻は、月縁の地形の影響により、計算値より数秒のずれが生じます。
おもな都市における潜入と出現の時刻は、2024年12月25日スピカ食各地予報 をご覧ください。
12月8日に起きた土星食の場合は、土星が月に完全に潜入するまで、また出現するまでに1分以上の時間がかかりましたが、スピカ食の場合は、突然消えたり、現れたりするように見えます(注)。恒星であるスピカは、惑星である土星よりも圧倒的に巨大な天体ですが、非常に遠方にあるため視直径(見かけの大きさ)がほぼゼロの点状に見えているためです。
- (注)スピカは連星であるため、厳密な観測では星が隠される度に段階的な明るさの変化が観測されることが予想されますが、通常の観察で気づくことは無いでしょう。
月による掩蔽(食)が起こりやすい1等星
地球の周りを公転している月は、地上から見ると星空を背景に東側へと少しずつ移動していきます。この時、月が背景にある天体を隠す現象を、月による「掩蔽(えんぺい)」あるいは「食」と呼びます。天球上の月の通り道が近い黄道付近にある1等星は限られており、おうし座のアルデバランやさそり座のアンタレス、そして今回食となるおとめ座のスピカは、肉眼でも観察しやすい星食をしばしば起こす数少ない星の一つです。
(参照)暦計算室ウェブサイト :「今日のほしぞら 」では、代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)を簡単に調べることができます。月やスピカの見える方角の参考にもご利用ください。「こよみの計算 」では月の高度や方位を詳しく調べることができます。