ほしぞら情報2024年2月
2024年 地球から最も遠い満月(2024年2月)

公転によって変化する地球と月の距離
地球の周りを公転する月の軌道は楕円形をしているため、地球と月との距離は常に一定ではありません。図は、月の地心距離(注1)が1公転ごとに周期的に増減する様子を表しています。さらに、月の軌道も太陽や地球などの重力を受けて変化するなど、複雑な仕組みが働いているため、1公転の中で最近・最遠となるときの距離も一定ではなく変化しています。満月や新月となるタイミングを重ねると、図のように毎回異なる距離で起こっていることがわかります。
2月の満月は、2024年中の満月としては最も遠い位置で起こります。月は2月24日21時30分に満月となり、翌日25日の23時59分に遠地点(注2)を通過します。満月のときの地心距離は約40万6000キロメートル、月の視直径(注3)は約29分26秒角です。

見た目では分からない実は大きな違い
今年最も地球に近い位置で起こる満月は10月17日で、この時の地球からの地心距離は約35万7000キロメートル、月の視直径は約33分26秒角です。今回の満月は、10月17日の満月に比べて視直径が約12パーセント小さい(面積は約22パーセント少ない)のです。数字で見ると、ずいぶんと大きな違いに思えるでしょう。しかし、実際の夜空に月を二つ並べて比較することはできないため、夜空の月を眺めただけで大きさや明るさの違いに気づくのは難しいでしょう。
- (注1)地心距離:地球の中心と天体の中心(この場合は月の中心)の間の距離。実際には私たちは地表から月を見ているため、地心距離が同じであれば、頭の真上近くに見える月は地平線近くに見える月よりも、地球の半径分(約6400キロメートル)私たちに近いことになります。
- (注2)近地点・遠地点:1公転の間で月が地球に最も近づく点を「近地点」地球から最も遠ざかる点を「遠地点」といいます。
- (注3)視直径:天体の見かけの大きさで、角度で表します。このページで示している視直径は地心距離に基づいて計算しています。
(参照)暦計算室ウェブサイト :「暦象年表 」 には各種の計算ツールが用意されており、「天象」では、月の朔弦望や最近・最遠の日時を調べることができます。「月の地心座標 」では、月の天球上での位置座標や地心距離を調べることができます。