大規模並列コンピュータCray XC30「アテルイ」

アテルイとは

大規模並列計算機Cray XC30システム「アテルイ」は水沢VLBI観測所に設置された天文学専用のスーパーコンピュータです。2013年4月1日に共同利用を開始しました。アテルイは高速ネットワーク回線を介して、国内外からのアクセスやデータ転送が容易になっています。

天文学では、観測によってさまざまな物理量を数値化することと、理論によってそれを解釈していくことの両方が欠かせません。そして科学では、理論モデルの正しさを検証するためには、再現実験を行うことが必要不可欠です。しかしながら、天文学において扱う現象は、実験室の中では再現できないスケールのものがほとんどです。そんな時に活躍するのが、スーパーコンピュータです。人間には不可能な量の計算も、高性能な計算機の力を借りて計算することで、さまざまな天体現象をコンピュータ内に仮想的に再現することが可能となります。これが、スーパーコンピュータが「理論天文学の望遠鏡」と呼ばれるゆえんです。アテルイでも、さまざまな大規模・高精細なシミュレーションが日夜実施され、天文学の発展に大きく貢献しました。2018年3月、運用を終了しました。

アテルイ

スペック

所在地水沢キャンパス(岩手県奥州市水沢星ガ丘町)
主な製造メーカークレイ・ジャパン・インク
Cray XC30(スカラ型並列計算機)システム概要 ノード数:1060
CPU:Intel HASWELL 2.6ギガヘルツ
コア数:25440(システム全体)、24(1ノードあたり)
理論演算性能:1058 テラフロップス
主記憶容量:135.6テラバイト(システム全体)、128ギガバイト(1ノードあたり)
ディスク:820テラバイト

歴史

2013年(平成25年)4月1日共同利用開始
2014年(平成26年)9月アップグレードを実施
2018年(平成30年)3月運用終了

愛称の由来

アテルイ(阿弖流為)とは、今から1200年ほど前に岩手県の水沢付近に暮らしていた蝦夷(えみし)の長であり、朝廷の軍事遠征に対して蝦夷をまとめて勇猛果敢に戦った英雄です。これにちなみ、スーパーコンピュータにもその計算能力を活かして果敢に宇宙の謎に挑んでほしい、という願いを込めて「アテルイ」の愛称がつけられました。筐体には「阿弖流為」の文字が電子回路を模した篆書で描かれています。

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