ほしぞら情報2023年2月
オリオン大星雲を観察する好機(2023年2月)

オリオン大星雲を見つけよう
日の入りから1時間半が過ぎ、空がすっかり暗くなった頃、南の空には冬の星座がたくさん見えています。多くの明るい星がある中に、2つの1等星と2つの2等星が形作るややひしゃげた長方形と、その中心にほぼ等間隔で並ぶ3つの2等星を見つけることができます。オリオン座(注1)です。中心の3つの星は「三つ星(みつぼし)」と呼ばれます。
月のない夜に街灯や建物の明かりなどが少ない場所で観察すると、三つ星の下に、三つ星よりもさらに暗い星が縦に3つほど並んでいるのが見えます。こちらは「小三つ星(こみつぼし)」と呼ばれます。
小三つ星の真ん中の星をよく見ると、他の星のように点状ではなく、なんだかぼんやりとにじんだ感じに見えませんか?実は、これは「オリオン大星雲」(注2)と呼ばれる、巨大なガスの集まりなのです。2月は、日の入り後1時間半ほどが過ぎ、空が完全に暗くなる頃にオリオン座が南の空の高い位置に見えるため、オリオン大星雲を観察しやすい時期となります。
肉眼では小さな雲のように見えるだけですが、望遠鏡や双眼鏡で拡大すると、蝶や鳥が羽を広げたような複雑な形をしていることがわかります。
恒星が誕生する現場を見よう?!
星座を形作っている星たちである「恒星」は、宇宙空間に漂うガスが自分の重力で集まって誕生しました。オリオン座のあたりには、目には見えませんが、恒星のもとになるガスの塊がたくさんあります。オリオン座にある多くの青白い恒星たちは、これらのガスから生まれたと考えられています。オリオン大星雲はガスがひときわ濃い部分で、その中では、現在も恒星が誕生し続けています。誕生したばかりの恒星の光が周囲のガスを光らせ、あのような複雑な形を作り出しているのです。
恒星は、見かけの大きさがとても小さく、人の一生よりはるかに長い時間をかけて誕生します。そのため、残念ながら恒星が誕生する瞬間を肉眼で見ることはできません。しかし、その中で起こっていることを想像しながら自分の目でオリオン大星雲を見ていると、なんだか楽しくなりませんか。
- (注1)まわりの星も参考にしてオリオン座を探してみましょう。星の配置は「火星と冬の星空(2023年2月)」や「東京の星空・カレンダー・惑星(2023年2月)」の星図などを参考にしてください。
- (注2)「オリオン星雲」や「M42」(エムよんじゅうに、または、メシエよんじゅうに)とも呼ばれます。