宇宙の特殊な光から地球上の生命の起源に新知見
概要
有名な星形成領域であるオリオン大星雲において、最も若く重い星と考えられるIRc2星の近くに、円偏光という特殊な光が太陽系の広がりの400倍以上のサイズにまで広がっていることを発見しました。 近赤外線偏光観測装置SIRPOLを用いてオリオン大星雲中心部の観測を行いました。 観測領域の中心の部分は過去の限られた視野の観測結果と一致しますが、これほどまでに円偏光領域が広がっていること、また、オリオン大星雲中心部に他に卓越した円偏光領域が見られないことは、本観測で初めて示されました。 さらに、この観測領域にある数百個の太陽系に似た、軽く若い天体には円偏光は検出されませんでした。 星形成領域の円偏光は、地球上の生命の素となるアミノ酸が「左型」である原因の一つとして示唆されていますが、 本発見は、太陽系の形成時に「原始太陽系星雲が、オリオン星雲のような大質量星が生まれる領域において、 その領域を支配した若い大質量星の円偏光にさらされたこと」により、原始太陽系中のアミノ酸が左型に偏った可能性を支持します。 これは、最近の隕石同位体の分析などから、太陽系起源が大質量星近傍であるという示唆とも合致しています。