自然科学研究機構 国立天文台

火星の接近とは

2020年 火星最接近について

地球や火星といった太陽系の惑星は、それぞれが異なる周期で太陽の周りを公転しています。このため、惑星の位置関係はいつも変化しています。内側の軌道を公転している惑星ほど公転のスピードが速く、火星の内側を公転する地球(公転周期365日)は、火星(公転周期687日)に約780日(約2年2カ月)ごとに追いつき、追い越します。このとき、火星と地球との距離が近くなることを火星の接近と呼び、さらに、距離が最も近くなることを「最接近」と呼びます。 ほぼ円形の地球の軌道に比べて火星の軌道は少しつぶれた楕円形をしているため、2つの惑星の最接近時の距離は毎回異なります(詳しくは「基礎知識」の「火星の接近」をご覧ください)。

2020年 地球、火星の位置関係と火星の視直径
画像サイズ:中解像度(2000 x 2000) 高解像度(5500 x 5500)

上の図は、2020年の地球と火星との位置を表したものです。1月1日には火星は地球から3億キロメートル以上離れていて、その視直径は4秒角ほどです。地球と火星が近づくにつれて火星の視直径は次第に大きくなり、10月6日23時18分に地球と火星は約6207万キロメートルの距離まで接近します(最接近)。このときの火星は視直径が約22.6秒角(月の視直径の約80分の1)、明るさはマイナス2.6等と、木星よりも明るく見えます。

「火星の最接近」というと、その瞬間の日時ばかりが注目されがちです。しかし上の図のように、最接近前後の数週間は、地球と火星はほとんど同じ方向に並んで公転しているため、互いが接近した状態が続きます。2020年は、火星は9月上旬から11月上旬までマイナス2等以上の明るさで輝いています。また、最接近の頃よりもむしろ最接近を過ぎた時期の方が、火星が昇ってくる時刻が早くなり宵の空で観察しやすくなります。つまり、最接近のときだけでなく、2020年の秋いっぱいの比較的長い期間、視直径が大きく明るく輝く火星を夜空で楽しむことができるのです。