いつ、どこに見える?
火星は夜空のどこに見えるの?
火星などの惑星は、太陽の周りを公転しているため、星座の中での位置を変えていきます。上の図は、2020年5月1日から2021年3月末までの火星の位置を示したものです。
惑星が星座の中を西から東(上の図では右から左)へと移動していくことを「順行」、東から西(左から右)へと移動していくことを「逆行」といいます。順行から逆行、逆行から順行へと転じるとき、惑星の移動が止まったように見えます。このことを「留(りゅう)」といいます。順行→留→逆行→留→順行の動きは、地球と火星との会合(注4)前後、地球が火星に追いつき、追い越すときに起こります。なお、図中にある「衝(しょう)」とは、地球から見て火星が太陽と反対の位置になることです。
最接近の頃の火星はとても明るく見えます。これは火星の視直径が大きくなっているからですが、最接近の頃でも火星の視直径は非常に小さく、満月の視直径の約80分の1ほどです。このため、肉眼では、火星の明るさの変化は分かっても、火星が丸い形をしていることや、火星の視直径が変化することまでは分かりまません。
月ごとの東京での火星の見え方は、下記のとおりです(日本の他の都市でも、見え方はほとんど変わりません)。
- (注4)「会合」とは、太陽から見て2つの惑星が同じ方向になる現象。外惑星(地球よりも外側に公転軌道を持つ惑星)の「衝(しょう、地球から見て惑星と太陽が反対方向になる)」は、会合現象の一つ。 本文へ戻る
2020年1月から8月
火星が明るさを増しながら星座の中での位置を変えていく様子を観察しましょう。火星は、てんびん座、さそり座、へびつかい座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座を移動(順行)していきます。この頃の火星は、日の出前の南東から南の空に見えます。1月には1等台だった火星の明るさも、5月下旬には0等前後に、7月下旬にはマイナス1等に達します。
9月
うお座を東に移動(順行)していますが、9月10日に留となり、以後は西への移動(逆行)に転じます。留の頃には、星空の中での火星の動きが止まったように見えます。
真夜中の南東から南の空に見え、明るさはマイナス1.8等からマイナス2.5等。
10月
うお座を西に移動(逆行)しています。10月6日に地球に最接近、14日に衝となり、観望の好機を迎えます。
真夜中の南から南西の空に見え、明るさは、マイナス2.5等から衝の前後はマイナス2.6等に達しますが、下旬にはマイナス2.2等になります。
11月
うお座を西に移動(逆行)していますが、11月16日に留となり、以後は東向きの移動(順行)に転じます。留の頃には、星空の中での火星の動きが止まったように見えます。
宵の南東から南の空に見え、明るさはマイナス2.1等からマイナス1.2等。
12月
うお座を東に移動(順行)しています。
宵の南の空に見え、明るさはマイナス1.1等からマイナス0.3等。
(参照)暦計算室ウェブサイト:「今日のほしぞら」では、代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)を簡単に調べることができます。