ほしぞら情報2025年11月
2025年で地球にいちばん近い満月(2025年11月)

地球と月との距離は変化する
11月5日の月は、2025年中で地球から最も近い位置で満月になります。
地球の周りを公転する月の軌道は楕円形をしているため、地球と月との距離は一定ではありません。さらに、月の軌道は太陽や地球などの重力を受けて刻々と変化しています。このため、地球と月との地心距離(注1)は上の図のように変化し、満月や新月のときの距離も、毎回異なります。
月は11月5日22時19分に満月(望)となり、日付が変わって6日の7時27分に近地点(注2)を通過します。満月のときの地心距離は約35万7000キロメートル、月の視直径(注3)は約33分28秒角です。

2025年で地球から最も遠い満月は、4月13日でした。今回の満月は、4月13日の満月に比べて視直径が約14パーセント大きく見えます。しかしながら、実際の夜空に月を二つ並べて比較することはできないため、その日の月を見ただけで視直径の変化に気づくのは難しいでしょう。月の視直径の違いは、上の図のように視直径を調べて作成した絵を並べたり、それぞれの満月を同じ条件で撮影した写真を並べたりして比較すると、よくわかります。
最近は、地球に近い満月に対して「スーパームーン」という名称がよく使われています。スーパームーン自体は定義があいまいなのですが、ニュースなどを聞き、月や夜空を眺めた方もいらっしゃるでしょう。そして、「どうして月が大きく見えるのだろう?」と疑問を持った方もいらっしゃるかもしれません。このようなことをきっかけに、宇宙のさまざまなことにも興味をお持ちいただければと思います。
- (注1)地球の中心と天体の中心(この場合は月の中心)の間の距離。実際には私たちは地表から月を見ているため、地心距離が同じであれば、頭の真上近くに見える月は地平線近くに見える月よりも、地球の半径分(約6400キロメートル)私たちに近いことになります。
- (注2)1公転の間で月が地球に最も近づく点を「近地点」地球から最も遠ざかる点を「遠地点」といいます。
- (注3)天体の見かけの大きさで、角度で表します。このページで示している視直径は地心距離に基づいて計算しています。
(参照)暦計算室ウェブサイト :「暦象年表 」には各種の計算ツールが用意されており、「天象 」では、月の朔弦望や最近・最遠の日時を調べることができます。「月の地心座標 」では、月の天球上での位置座標や地心距離、視直径などを調べることができます。