ほしぞら情報2023年11月
衝を迎える木星が見頃(2023年11月)

木星の観察シーズン到来
日の入り後の南東の空で飛び抜けて明るく輝いている木星が、11月3日に「衝(しょう)」を迎え、これからが見頃となります。衝の頃の木星は約マイナス3等の明るさで輝き、大きな存在感を放っています。
衝とは太陽系の天体が、地球から見て太陽とちょうど反対側になる瞬間のことです。衝の頃の惑星は、地球との距離が近く見かけの大きさ(視直径(注1))が大きくなっている、光っている部分を正面から見るため陰になる面積が少ないなどの理由で、特に明るく見えます。また、日の入りの頃に東の空から昇って真夜中に南中し、日の出の頃に西の空に沈むため、一晩中見ることができます。

木星の見どころ
機会があれば、望遠鏡を使って木星を観察してみましょう。秋から冬にかけては、天体観望会で木星を観察できる施設もあることでしょう。
小型の望遠鏡や双眼鏡でも、明るい円盤状の木星本体から少し離れたところに、4つの小さな点が直線状に並んで見えます。木星を公転する4つの大きな衛星です。イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが発見したことから「ガリレオ衛星」と呼ばれています。ガリレオ衛星は木星の周りを公転しているため、時間がたつにつれて位置関係が変わっていく様子を観察することができます。
また、大気の安定した条件で、倍率を上げて見ると、木星の表面には淡い赤褐色の縞模様(しまもよう)も何本か見られます。よい条件で観察できれば、写真で楕円形に写っている「大赤斑」もわかるかもしれません。

11月に見頃を迎えるもう一つの惑星
11月、見頃を迎える惑星がもう一つあります。14日に衝となる天王星です。
天王星は、木星の近くに見えていますが、明るさは約6等級と、非常に条件の良い空でも肉眼で見える限界の明るさです。双眼鏡や望遠鏡などを使って探してみるとよいでしょう。
- (注1)天球上における天体の見かけの直径のこと。度、分、秒の角度で表される(1度=60分角、1分=60秒角)。
(参照)暦計算室ウェブサイト :「今日のほしぞら 」では、代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)を簡単に調べることができます。こよみ用語解説 の天象 の項では、最大離角、衝、合、留などの惑星現象の用語について解説しています。