ほしぞら情報2023年8月

2023年 地球から最も近い満月(2023年8月)

2023年 満月の距離のちがい
画像:中解像度(2000 x 1265) 高解像度(5500 x 3480)

今年最も地球に近い満月

2月6日の満月は、2023年で地球から最も遠い満月でした。一方、今月8月31日の満月は、2023年中で地球から最も近い位置で満月になります。

月は8月31日0時54分に近地点(注1)を通過し、約10時間後の10時36分に満月(望)となります。満月のときの地心距離(注2)は約35万7300キロメートル、月の視直径(注3)は約33分26秒角です。

2023年 月の地心距離の変化と満月
画像:中解像度(2000 x 1265) 高解像度(5500 x 3480)

満月までの距離が変わる理由

地球の周りを公転する月の軌道は楕円形をしているため、地球と月との距離は一定ではありません。さらに、月の軌道は太陽や地球などの重力を受けて刻々と変化しています。そのため、満月や新月のときの距離は、上の図のように毎回異なります。8月31日の今年地球に最も近い満月は、2月6日の今年最も遠い満月に比べて視直径が約14パーセント大きく、光っている面積も約29パーセント広く(その分明るく)なっています。しかしながら、実際の夜空に月を二つ並べて比較することはできないため、その日の月を見ただけで大きさの変化に気づくのは難しいでしょう。それぞれの日に、同じカメラ、同じ画角のレンズで撮影した写真を比較してみるとよくわかります。

なお、今月8月2日の満月の位置も地球にかなり近く、この時の地心距離は35万7500キロメートルです。8月31日の満月よりも200キロメートルほど遠い位置での満月ですが、その差はわずかです。

最近は、地球に近い満月に対して「スーパームーン」という名称がよく使われています。スーパームーン自体は定義があいまいなのですが、このような言葉を聞いたことによって、月や夜空を眺めてみたという方もいらっしゃることでしょう。なぜそのように月との距離が変化するのだろうといったことをきっかけに、宇宙のさまざまなことにも興味をお持ちいただければと思います。

  • (注1)近地点・遠地点:1公転の間で月が地球に最も近づく点を「近地点」、地球から最も遠ざかる点を「遠地点」といいます。
  • (注2)地心距離:地球の中心と天体の中心(この場合は月の中心)の間の距離。実際には私たちは地表から月を見ているため、地心距離が同じであれば、頭の真上近くに見える月は地平線近くに見える月よりも、地球の半径分(約6400キロメートル)私たちに近いことになります。
  • (注3)視直径:天体の見かけの大きさで、角度で表します。このページで示している視直径は地心距離に基づいて計算しています。

参照:

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