1998年の「しし座流星群」の出現状況などについての情報(ランダムに更新しています) (Update1998.11.27)
1998年11月10日の「記者発表資料」 (Update1998.11.11)
今年の「しし座流星群」について
1998年の11月に「しし座流星群」の流れ星が大出現をして、非常にたくさんの流星が
見られるといったことが一部の新聞や雑誌などで報道されている。この流星群について
概略の説明をおこない、また今年の流星出現状況についての推定を述べる。
「しし座流星群」は、テンペル・タットル彗星(55P/Tempel-Tuttle)を母彗星とす
る流星群で、毎年11月17、18日頃をピークに数日間流星を出現させる。また約
33年を周期として流星出現数が大きく増減する特徴がある。特に母彗星が回帰する前
後の数年間は流星数の増加が顕著で、過去の1799年、1833年などには、天空を
埋め尽くすほどの流星の大出現があったと記録されている。このときに見えた流星数は、
1時間あたり数万個とも数10万個ともいわれる。しかし、母彗星が回帰した年でもそ
のような大出現がないこともある。たとえば、1932年などは極大時でも1時間あた
りせいぜい数10個程度の出現にとどまったということである。
1965年の回帰のときは、4月29日に母彗星が近日点を通過し、ひき続く11月
17日未明に「しし座流星群」が、日本でかなりの出現を見せた。下弦近くの月がかな
り明るかったにもかかわらず、このときは1時間あたり200〜300個の流星が観測
された。この回帰のときの流星出現はこれだけにとどまらず、翌1966年11月17
日にはアメリカ西部で日本を上回る規模の大出現があり、短時間ではあったが、ピーク
時の流星出現数は、1時間あたり数万〜10万個にも達した。これは「しし座流星群」
としては久しぶりの大出現であった。それから32年が経過、「しし座流星群」の母彗
星であるテンペル・タットル彗星はまた回帰し、今年の2月28日に近日点を通過して
いる。そこから、今年の流星大出現がささやかれるようになったのである。
今年「しし座流星群」が日本で好条件であるといわれているのには、いくつかの理由
がある。過去の流星出現状況から経験的に見ると、「しし座流星群」の出現が活発にな
るのは、母彗星が通過してから数100日の間に、地球が外側になって彗星軌道に接近
したときである。今年はその条件を満たしている。特に今回は、母彗星が近日点を通過
してから最初の流星群出現であること、降交点で地球が彗星軌道に0.008天文単位
にまで接近すること、出現のピークと推定される時刻(11月18日4時JST)が日
本で夜明け前で、「しし座流星群」の放射点が手頃の高度に昇っていること、その日が
新月に近く、月明の妨害がまったくないことなどの条件がそろったので、「日本で流星
が見える」といわれるのである。人によっては、1時間当たり5000個程度の出現を
予測する向きもある。
しかし、これらの条件の多くは状況証拠である。流星がたくさん出現するのは、地球
が流星物質の濃密な雲に突入するときである。したがって、その流星物質の存在を確認
しないかぎり、確実な予測にはならない。しかし、残念ながら、いまのところ、流星物
質の存在を事前に観測することは不可能なので、これが流星群の出現予測を困難にして
いる。
日本における今年の「しし座流星群」の流星出現状況について、国立天文台・広報普
及室は、以下のように推測している。
先に述べたように「しし座流星群」は約33年を周期として出現数が増減する。
ここ数年の状況を見ると、出現時期の11月17、18日には徐々に流星出現数が増加
し、一昨年、昨年には、1時間に20個程度の明るい流星の出現が確認されている。こ
こから見て、今年のピークに当たる11月18日の未明には、流星出現数が1時間あた
り数10個に達することはほぼ確実である。その数が100個を越える可能性もかなり
高い。したがって、晴れさえすれば、めったに見られない数の流星を見ることができる
だろう。
流星群には、ときに流星嵐といわれる大出現が伴うことがある。1時間あたりの出現数
が数1000個、あるいは数万個に達する場合がそれであり、上に記した1799、
1833、1966年の「しし座流星群」の大出現はこの流星嵐に相当する。今年、日
本でこのときのような流星嵐が見られるかどうかは、おおいに興味のあるところであろ
う。その可能性をまったく否定することはできないが、これについて確実なことは何も
いえない。
仮に流星嵐が起こったとしても、その継続時間はせいぜい1時間、場合によっては数
10分程度に過ぎないから、うっかりすると見逃すことがある。流星の大出現を目で確
認するには、その出現が夜の時間に当たること、天候が晴れていることといった条件に
恵まれることが必要である。
なお、ここで述べた1時間あたり何個という流星出現数は、快晴の夜に、十分に暗い
空の下で、一人で見ることができる流星数を意味している。晴れた夜でも、市街光にあ
ふれた都会で見る場合には、現実に見える流星数は、数分の一から一割程度に減ると考
えた方がよい。たくさん流星を見るためには、夜空の暗いところ、たとえば都市を離れ
た高原などを観測地に選ぶとよい。できることなら、ある程度標高の高い場所にする方
が都市光を避けるのに効果的である。
今年11月18日に「しし座流星群」の流星が見えるのは、その放射点が地平線から
昇ってくる午前0時以降で、それから夜明けまでが観測時間帯である。強いて時間を絞
るなら、午前2時から夜明けまでということになろう。どの方向を見ていても流星は見
えるが、放射点が昇ってくる東南の空を見ていれば、放射状に流れる流星を確認できて、
興味が増すかもしれない。
流星出現の可能性が大きいのは今年だけではない。1966年の大出現から33年目
に当たる来年の1999年もかなりの出現が期待される。今年よりも来年の方が条件が
いいと考えている研究者も多い。そして、来年もっとも観測に適すると考えられている
地域はヨーロッパである。
流星について
流星(リュウセイ=流れ星)とは簡略的に言うと、宇宙空間を浮遊していた微小な塵
が地球の大気に飛び込み、地球大気との摩擦により燃え上がる現象です。
流星自体について研究している(プロの)天文学者は日本国内外も含めてそれほど多
くはおりません。また、実際に系統的・組織的な観測を行っている(プロの)天文学者
となると殆んどいないといってもいいでしょう。どちらかといえばアマチュアの方々
(個人・組織)の方が系統的・統計的に観測を行い、成果をまとめているようです。
以下のURLは「流星」に関係する個人または団体の ウェブページです。これらに、
流星についての詳しい説明や、観測の方法などが掲載されていますので、ご参考にして
ください。
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●現在入手可能と思われる「流星」に関しての資料
◎書籍:『流星と流星群 −流星は何がどうして光るのか−』
◎書籍:『しし座流星雨がやってくる』
◎書籍:『別冊家庭画報 しし座流星群を追え! 〜98年、99年秋 日本に大流星雨が出現する』
◎書籍:『新・しし座流星群百科事典(流星観測マニュアル)』
◎書籍:『流星観測マニュアル [L計画マニュアル・第2分冊]』、
◎天文雑誌:『天文ガイド』 毎月5日発売。誠文堂新光社発行
◎天文雑誌:『スカイウオッチャー』 毎月5日発売。立風書房発行
●その他
(この他、情報がありましたら、leo@pub.mtk.nao.ac.jp迄お知らせください)
国内の流星観測者・研究者によって組織されている「日本流星研究会」の公式Webページ。流星・火球に関する最新情報や、流星群についての解説などが掲載されています。
「しし座流星群とは」から、たくさんの流れ星を見る方法、観測の実際までやさしく解説する初心者向けのオリエンテーションの開催案内。日本流星研究会ほかによって企画・運営されます。
しし座流星群を観測する高校生プロジェクト、いわば「天文甲子園」。天文教育普及研究会・日本天文学会・日本惑星科学会共催。高校,高専のクラブ,もしくは指導者のいる高校生のグループを対象としています。
東京近郊在住の流星観測者のうち、眼視観測を中心にしたグループのホームページ。主要流星群の活動期には眼視観測の速報が掲載されます。
写真による火球パトロールを行っているグループのホームページ。東北〜近畿地方の火球情報に詳しい。
関東近辺で写真観測を行っているグループのホームページ。
流星の電波観測の情報が掲載されている、鈴木和博氏のホームページ。(英文)
NASA/エイムス研究所のイエニスケン博士の、しし座流星群に関するホームページ。日本の情報も時々掲載されている。(英文)
立川崇之氏のホームページにあるしし座流星群に関係するWebPageのLINK集。
SKY Online, 流星のページ。(英文)
インターネット観望会「しし座流星群を見よう」 http://www.tori.chugoku.mbc.ntt.co.jp/wnn-c/tori/
インターネット観望会「しし座流星群を見よう」 http://www.wnn.or.jp/wnn-u/
じアストロパーク・佐治天文台、NTT鳥取支店:インターネット観望会「しし座流星群を見よう」
みさと天文台:「LIVE! LEONIDS 98」
長沢工著 地人書館発行
ISBN4-8052-0543-1
渡部潤一著 誠文堂新光社発行
ISBN4-416-29815-3
浅田英夫執筆、尾久土正己監修 世界文化社発行
ISBN4-418-981373
東京近郊地区流星観測者会発行(自費出版)
URL=http://www.plaza.across.or.jp/~suzukima/leobook.html
『しし座流星群マニュアル [L計画マニュアル・第3分冊]』
日本流星研究会発行(自費出版)
URL=http://www2u.biglobe.ne.jp/~nms/nmspubl.html
◎天文雑誌:『月刊天文』 毎月1日発売。地人書館発行
(※ 注:このIDは一般質問受付の為のIDではありません。
このIDに質問をされてもお答えいたしません。
詳しくは「一般質問電話について」を御覧ください。)
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