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「しし座流星群についての記者発表」でお配りした資料

１９９８年１１月１０日
記者発表「しし座流星群について」

日時：１９９８年１１月１０日（火）　午後２時より
会場：国立天文台（三鷹）　本館・講義室

文部省 国立天文台 天文情報公開センター 広報普及室
〒181-8588 東京都三鷹市大沢 ２－２１－１

配布資料一覧

　１：「しし座流星群」について
　　　　　流星とは
　　　　　流星群とは何か
　　　　　今回のしし座流星群について（国立天文台・天文ニュースから）
　　　　　　#197　「ジャコビニ流星群」と「しし座流星群」
　　　　　　#209　ジャコビニ・ジンナー彗星に関連する流星群出現（速報）
　　　　　　#218　「しし座流星群」の流星出現について
　　　　　　#196　天文甲子園の夢、高校生による「しし座流星群」の同時観測
　　　　　しし座流星群とは
　　　　　しし座流星群の見方
　　　　　国立天文台などの観測体制
　　　　　流星と光害について

　２：資料
　　　　　国立天文台ホームページ上の広報文章　今年の「しし座流星群」について
　　　　　流星に関するホーム・ページ
　　　　　流星に関する書籍・資料
　　　　　ＦＡＱ　（よくある質問集O。配布資料ではなく、「天文甲子園の夢、高校生による「しし座流星群」の同時観測」の「流星Ｑ＆Ａ」のページへリンクします。ことらの方が詳しい）
　　　　　環境庁・グリーン・ライティング・キャンペーン（環境庁）


　３：図版・画像
　  　　　地球としし座流星群（彗星）との関係の図　(277KB)　（図版をスキャナーで取り込んだもの）
　　　　　１１月１８日午前１時の東の空の様子　(365KB)　（図版をスキャナーで取り込んだもの）
　　　　　１１月１８日午前３時の東の空の様子　(331KB)　（図版をスキャナーで取り込んだもの）
　　　　　１１月１８日午前５時の東の空の様子　(248KB)　（図版をスキャナーで取り込んだもの）
　　　　　テンペル・タットル彗星の画像　（テンペル・タットル彗星の画像集ディレクトリへのリンク）
　　　　　１９９５年のしし座流星（１）
　　　　　１９９５年のしし座流星（２）
　　　　　１９９５年のしし座流星（３）
　　　　　公害通信別冊 正しい照明の手引き （星空を守る会）


国立天文台・一般質問電話：０４２２－３４－３６８８　（平日：午前９時～午後６時）
国立天文台・ホームページ： URL:http://www.nao.ac.jp/



１：しし座流星群について

　流星とは

　流れ星（流星）は、地球大気に宇宙空間の小さなが塵粒が飛び込み、それが
大気との摩擦・圧縮加熱によって流星から蒸発したガス成分や大気がプラズマ
となり発光する現象。発光している時間は１秒以下のことが多い。明るい流星
になると、流れた後に煙のような痕跡を残すことがあり、流星痕と呼ばれてい
る。これは発生したプラズマが、何らかのメカニズムで光り続けるものである。
希に数分、数十分も残るものがあり、永続痕とも呼ばれる。
　通常の流星は、大きさがせいぜい１センチメートル程度、重さも数グラム以
下の小さな塵粒である。大気への突入速度は地球との軌道速度との関係で、秒
速１０～７０ｋｍとなっている。

　ちなみに流星は日本では平安時代の昔から「婚い星（よばいぼし）」とも呼
ばれていた。「倭名抄」の注釈としても、流れ星は「和名　与波比保之（よば
いぼし）」とあり、「流星の飛ぶや、蕩子の女家に就くが如きあり、故に与波
比保之と名づけるなり」と記されている。平安時代の枕草子には、「星はすば
る。彦星。夕筒（ゆうつつ＝宵の明星・金星）。よばひ星、すこしをかし。」
などと歌われている。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（夕筒＝宵の明星・金星）

（表１）　流星の発光に含まれている主な輝線

  　　　　　　物質                         波長（nm)   　　　　　　注
　　　　　　カルシウム（Ｃａ　ＩＩ）　   ３９３．４        高速の流星で強い
                                         ３９６．８
　　　　　　ナトリウム（Ｎａ　Ｉ）　　　 ５８９．０
                                         ５８９．６
　　　　　　硅素（Ｓｉ　ＩＩ）　　　　　 ６３４．７
                                         ６３７．１
            マグネシウム（Ｍｇ　Ｉ）　　 ５１７．３        高速の流星で強い
                                         ５１８．４
　　　　　　鉄（Ｆｅ　Ｉ）　　　　　　　 ３７２．０        他にも輝線多数
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ３７３．７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ３８６．０



② 流星群とは何か

　もともと同じ彗星からまき散らされた塵粒の群を流星群と呼び、これにたま
たま地球が突入すると流星雨（流星群）となる。流れ星になる塵粒はみなほと
んど平行に大気に突入するために、天空上のある一点から放射状に流れるよう
に見える。この点を放射点（輻射点）と呼ぶ。通常、流星群の名前は、この放
射点のある星座名を採用して、ＸＸ座流星群と呼ぶことが多いが、いくつかの
流星群では、母親である彗星の名前を冠する場合もある（ジャコビニ流星群な
ど）。　流れ星になるような塵粒は、比較的ゆっくりと彗星から放出される。
その後、次第に彗星の軌道上に拡散していく。一般には最終的に彗星軌道上に
ほぼまんべんなく分布するようになる。そうなると、毎年ほぼ同じような出現
が見られるようになり、定常流星群となる（ペルセウス座流星群など）。しか
し、母親である彗星の近くに流星になる塵の密度が多いような場合には、その
彗星が太陽に近づいたとき、（すなわち地球に近づいたとき）に、流星の出現
数が多くなる周期群となる。


③　今回のしし座流星群について　（国立天文台・天文ニュースから）

・国立天文台・天文ニュース (197)　「ジャコビニ流星群」と「しし座流星群」

　「ジャコビニ流星群」は10月9日頃に、「しし座流星群」は11月18日頃に流星
が見える流星群です。この二つの流星群は、ともにはっきりした周期性があり、
「ジャコビニ群」は13年ごとに、「しし群」は33年ごとに流星出現数が大きく
増加します。そして、今年の1998年は、ちょうどこの両方の流星群が出現する
周期に当たっています。ですから、今年は流星群の当たり年といえましょう。
　実をいうと、20世紀になってから、流星嵐ともいえるおびただしい数の流星
が見えたのは、この二つの流星群だけなのです。「ジャコビニ群」は1933年に
ヨーロッパ西部で1時間当たり6000個、1946年にはアメリカ東部で同じく数千か
ら数万個といわれる流星を出現させました。また「しし群」では、1966年にア
メリカ西部で1時間に数万個という流星の大出現が見られたのです。
　しかし、困ったことに、どちらの流星群も、その周期の年に確実にたくさん
の流星が出るわけではありません。そのため、期待していた人々を、何度もガッ
カリさせています。たとえば1972年には、「ジャコビニ群」からたくさんの流
星が出ると、日本中で騒がれました。しかし、現実にはほとんど流星が現われ
ませんでした。その13年後の1985年には、ほとんど期待されていなかったにも
かかわらず、10月8日に、大出現とはいえないものの、思いがけない数の「ジャ
コビニ群」の流星が夕方の空を彩ったのでした。流星群の流星がどのくらい出
るかを予測するのは非常に困難で、ほとんど不可能といっても過言ではありま
せん。
　それでは、今年のこれらの流星群は、どのくらい流星が出るのでしょうか。
予測ができないまま、マスメディアでは「たくさん出る」という情報が先行し
がちで、ちょっと気になります。
当たるかどうかわからないのを前提にして、あえて推測してみましょう。「ジャ
コビニ群」が見えるとすれば、10月8日から9日にかけての夜の、それも夜明け
に近い時刻と思われます。しかし、その時刻には放射点の高度が低い上に、月
令18の月がたいへん明るいので、たとえある程度の数の流星が出たとしても、
はなばなしい出現とはなりそうもありません。結局、あまり大きい期待はでき
ないと思われます。
一方、「しし群」は、11月18日の夜明け直前が出現のピークと推定されます。
このときは月明かりがまったくないので、流星がたくさん出るとすれば、絶好
の観測条件になります。流星数は、暗い空のところで、ピーク時に、1時間当
たり100から200個といっておきましょう。これだけでもめったに見られない流
星出現数ですから、ご覧になった方は、かなり感動を受けるに違いありません。
もし、それ以上にたくさんの流星が見えたときは、その分をおまけとして、十
分に楽しんでください。また、それだけの流星が見えなかったときは、「やは
り出現数の予測は難しい」と再認識していただくことになるでしょう。
　なお、しし座流星群についての情報は、11月初め頃に、もう一度お知らせす
る予定です。

　　　　　１９９８年８月２０日　　　　　　　　　国立天文台・広報普及室

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・ 国立天文台・天文ニュース (209)　
ジャコビニ・ジンナー彗星に関連する流星群出現（速報）

　毎年10月9日頃に極大日を迎えるりゅう座γ流星群は、ジャコビニ流星群とし
て知られる流星群で、13年周期で流星出現数が大きく増加します。流星は、彗星
が残した微細なチリが大気に飛び込んでくるときに起こる発光現象ですが、ジャ
コビニ群の源となる流星のチリに地球が遭遇するのは、日本時間で10月9日午前
6時頃と予測され、そのころ比較的多くのジャコビニ群に属する流星が出現する
のでは、と期待されていました。
　10月8日夕方から翌9日明け方にかけて渡部潤一ら国立天文台広報普及室の観
測チームは、国立天文台観測所で観測を行ないました。当日は幸い晴天に恵ま
れ、予報より8時間以上も早く、ジャコビニ流星群の出現が捉えられました。
出現のピークは8日21時～23時で、23時を過ぎるとほとんど認められなくなりま
した。ピーク時に見えた流星数は、肉眼で一人が1時間に50～60個でした。
　また、国内のアマチュア天文団体で、流星を専門に研究している、『日本流
星研究会（ＮＭＳ）』のホームページ（http://www2u.biglobe.ne.jp/~nms/）
には、未集計ながら、１時間当あたりに全天で４００個も流れたとの推測が掲
示されています。詳しい解析には時間を要しますが、ジャコビニ流星群は前回
1985年の時以上で、期待に反せず活発であったといってよいでしょう。
　今年は、同じく33年ぶりに沢山の出現が期待される、しし座流星群の影に隠
れて、それほどクローズアップされていなかったジャコビニ群が、予報時刻を
大きく外れて、しかも予想外の出現をした事実は、こうした流星群の出現予測
の難しさを改めて感じさせます。

協力：日本流星研究会
参照：国立天文台・天文ニュース(197)

　　　　　１９９８年１０月９日　　　　　　　　国立天文台・広報普及室

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・国立天文台・天文ニュース (218)　「しし座流星群」の流星出現について

　「しし座流星群」の流星が11月18日の夜明け前に大出現すると、新聞、テレ
ビなどで報道されるようになりました。すでに天文ニュース(197)で一応のご案
内をいたしましたが、期日が迫りましたので、もう一度情報を整理してお伝え
します。
　「しし座流星群」は約33年を周期として出現数が増減する流星群で、1799年、
1833年には全天を埋め尽くすほどの流星が見られ、非常に有名になりました。
1866年にもかなりの流星が出ましたが、1899年、1932年には期待したほどの出
現がなく、「流星群は衰えてしまって、もう大出現はない」といった悲観論が
天文界を支配しました。しかし、1965年には日本で1時間当たり数100個の流星
出現が観測され、続く1966年にはアメリカ西部で毎時10万個に達する大出現が
ありました。「しし座流星群」は決して衰えたのではなかったのです。
　それからまた1周期が巡り、また「しし座流星群」の極大期がきました。今年
は11月18日の夜明け前がそのピークに当たり、空の暗いところで見れば、ピー
ク時には、多分1時間当たり100個から200個程度の流星が見えるのではないかと
予測されています。ことによると、1000個を越える出現があるかもしれません。
ピーク時には、ほとんどの方が、これまでに見たことのないほどたくさんの流
れ星を見ることができるでしょう。「都会で見ても流れ星は見えるか」とよく
聞かれます。都会の空でも明るい流星は見えますから、まったくダメというこ
とはありません。しかし、見える数は、暗い空の場合の数分の一から一割くら
いに減ると思ってください。
　注意していただきたいのは、流星群の出現予測は確実なものではないことで
す。流星となる微小粒子を太陽系空間であらかじめ観測することはできません
から、いまの出現予測は、母彗星軌道と地球との距離、ここ数年の「しし座流
星群」の出現状況等の間接的な情報に基づいて推測しているに過ぎません。い
うなら、状況証拠だけに頼っている状態です。したがって、場合によっては、
あまり流星の出現がなく、ガッカリすることになるかもしれません。
　たとえ流星がかなり出るにしても、その時刻も正確にはわかりません。2時か
ら4時の間などともいわれますが、一般の報道をうのみにしないことです。過
去のさまざまな流星群でも、予測時刻が数時間ずれることはしばしばです。た
くさん見えるといわれる時刻にだけ見ようとすると、ピークを見逃すかもしれ
ません。ただし、放射点のある「しし座」が地平線下にある時間帯は絶対に
「しし座流星群」の流星は出ませんから、「しし座」が東に昇る18日の0時ぐ
らいまでは空を見る必要はありません。それまでは寝ていていいのです。どう
しても流星をたくさん見たいのなら、0時から夜明けまで、ずっと見続けるこ
とをお勧めします。晴れると寒いですから、防寒には十分に配慮してくださ
い。最大の問題は天候ですが、これはどうすることもできません。当日の晴
天を祈ることにしましょう。

　　　　　１９９８年１１月５日　　　　　　　　　国立天文台・広報普及室

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・国立天文台・天文ニュース (196)
		天文甲子園の夢、高校生による「しし座流星群」の同時観測

　今年11月の「しし座流星群」では、たくさんの流れ星が見えるといわれます。
この流星群の観測に、全国の高校生に参加してもらおうという計画が進められ
ています。
　この計画は「しし座流星群全国高校生同時観測会」と呼ばれ、日本天文学会、
日本惑星科学会、天文教育普及研究会が共催、国立天文台、日本理科教育学会、
日本プラネタリウム協会、その他多数の学会、協会などが後援する形でおこな
われます。参加資格は高校、高専のサークル、クラブであればよく、指導者の
いる高校生のグループであればそれでもかまいません。
　観測する内容は、11月17日から18日にかけての夜に、それぞれのグループが
任意の場所で流星を観測し、10分ごとの流星数を報告するという比較的簡単な
ものです。地域によって流星群の流星出現数にどのくらい差があるかは、これ
までにはっきり観測されたことがありません。仮に全国で観測が実施できたと
すれば、その結果は非常に貴重なものです。また、天候によって観測できない
場所ができるのは止むを得ないことですが、その場合でも、観測網が全国に展
開されていれば、必ずどこかで観測できるという利点もあります。
　観測に参加するには、参加の登録が必要です。登録は9月1日から10月31日の
間に、実行委員会のホームページ上(http://www.leonids.net/)か、または事務
局で受け付けます。登録が済みますと、「参加登録確認書」、「簡易観測マニュ
アル」、「観測報告用紙」が郵送されます。一方、観測結果は11月末日までに
報告することになっています。全国の観測結果はホームページ上で公開され、
参加したグループはその結果を自由に引用できます。また、実行委員会は観測
結果を集約し、共催、後援団体の機関誌で発表する予定です。
　いま、青少年の理科離れが大きく進んでいるという話があちこちで聞かれま
す。学校でも、自然科学系のクラブ活動が沈滞しているといわれます。しかし
一方、低学年の子どもたちは、天文に関する興味、関心が非常に高いのも事実
です。今年の「しし座流星群」に対して、日本は、めったにない絶好の観測条
件に恵まれています。流星の観測は特別な設備も道具も要らず、肉眼で観測で
きるものです。この機会に「同時観測会」に参加し、普段は天文にあまり関心
がない生徒でも気軽に観測できる環境を整え、現実の天文現象を各自の目で捕
らえることができれば、流星群は、生徒に「活きた教材」として感動を呼び起
こすものになるに違いありません。これを契機に自然科学への関心を高める生
徒があれば、主催者として、それに越すよろこびはないでしょう。
　実行委員会は、全国で、少なくとも100校程度は参加してほしいとの期待をし
ています。それだけでなく、今回を始めとして、毎年高校生が天文に関しての
観測、研究を競い合う「天文甲子園」ともいうべきイベントに発展させること
はできないかとも考えているのです。
　なお「しし座流星群全国高校生同時観測会」の事務局はつぎ場所におかれて
います。

  　180-8633 東京都武蔵野市吉祥寺北町3-10-13  成蹊中学高等学校地学研究室
      TEL : 0422-37-3828             FAX : 0422-37-3863
      e-mail : leo98@leonids.net     URL : http://www.leonids.net/

　　　　１９９８年８月１３日　　　　　　　　国立天文台・広報普及室


④　しし座流星群とは

　毎年１１月１４～１９日頃に散見される流星群で、平年はほとんどその活動
は目立たない。しかし、母彗星である周期約３３年のテンペル・タットル彗星
が回帰（太陽に近づくこと）する前後の数年に渡って、その数が劇的に増加す
ることがある周期群の代表的な流星群である。放射点がしし座の大鎌付近にあ
るためにこのような名称となっている。
　特に、場合によっては流星嵐とよばれるような数の流星を降らせることがあ
る。１８３３年、１８６６年の流星嵐は有名であり、流星に関する理解が進む
きっかけにもなった。前回は１９６４年から１９６６年にかけて出現し、特に
１９６６年にはアメリカのアリゾナ州を中心に１時間当たりに換算すると１５
万個という流星が出現した。１９６５年には日本でも観測されている。
　今回はテンペル・タットル彗星は、１９９８年２月２８日に近日点通過した。
これに伴って、１９９４年から出現が活発化しており、今年と来年の大出現も
期待されている。
　とりわけ、今年の極大は１１月１８日午前４～５時前後と予想されており、
日本、中国、東南アジアで観測条件が最高となり、期待されている。

　歴史に刻まれたしし座の流星雨の最古の記録は西暦９０２年のもので、中東
のバグダットやシシリー島、北アフリカ、スペインなどで記録が残っている。
中国では西暦９３１年の記録が３つの書物に記されているのが、しし座流星群
の記録である。
　日本での最初の記録は西暦９６７年のもので、「日本略記」に「康保九月九
日甲午、（中略）同亥時流星如月、（中略）衆星西乱、終夜流散」と記録され
ている。


１９６５年のしし座流星群の写真　  http://www.nao.ac.jp/pio/leo/index.html。
  レーダー観測による１９９４年からの活動の活発化についての学会発表　
　　　　　　　　（１９９８年３月日本天文学会春期年会　Ｌ０４ａ　渡部他
      　　　　　　　　　　　　　　http://www.tenmon.or.jp/meeting/1998a/L.html）


⑤　しし座流星群の見方

　しし座流星群に限らず、一般的に星を見る際にも同様。

・光害の少ない場所

　流星は、通常見えている星と同様、空が良くないとよく見えない。そのため
に理想的には天の川が見えるような場所が最適である。屋外照明の少ない、大
都市から、なるべく離れた暗い（光害の少ない）場所が最適である。流れ星の
数も、暗いものほど多くなる。雨のように降る流星嵐が出現しても、都市部で
眺められる流星の数は激減してしまう。標高が高い場所であれば、大気の透明
度も良く、光害を避けることができるので晴れさえすれば最適である。
　
・視野が開けている場所

　流星は空のどこにでも出現するので、なるべく全体が見渡せるほうが良い。
すなわち、見晴らしがよく、視界が開けていることが大事である。山や木立に
よって視界が遮ぎられていると、その分だけ見られる流星の数が減ってしまう。

・晴れそうな場所

流星は天候が悪ければ、見ることができない。晴れることが絶対条件である。
当日、国内ではどのあたりが晴れそうか、わからないので、直前に観測地を決
め移動する観測隊もある。また、確実を期して、民間飛行機に搭乗して、眺め
ようと言うグループもある。
前日、当日の気象情報を参考にしよう（天文台では気象情報はわからないので
注意！）。

・どのように見るか？

　流星を眺めるのに、望遠鏡・双眼鏡などは特殊な目的以外では不要である。
流星は放射点のあるしし座の方向だけ流れるのではなく、しし座にある放射点
を中心として、夜空のどこに出現するか、わからない。従って流星を見るには
肉眼が最適である。この場合でも、なるべく楽な姿勢で眺めるのがよい。シー
トやサマーベットに寝転がって、防寒対策（*）をした上で眺めていただくのが
よいだろう。

    （*）防寒対策
　　　　日本は南北に長い国なので一概には言えないが、１１月中旬ともなり、
　　　特に山の方に向かう場合、夜はかなり冷える。従って、十分な防寒対策
　　　が必要。服装はスキーウエアや夜釣りの装束がベスト。足も冷え込むの
　　　で、厚手の靴やスキー用靴下などが必要。また帽子や手袋も準備してお
　　　こう。その他にもシュラフや毛布、断熱シートがなどあると大変重宝す
　　　る。
        簡易コンロなどでお湯を沸かせるような準備をしておくと、温かい飲
　　　み物や携帯食が食べられる。徹夜の観測になるので、夜食の準備も必要。
　　　但し、火器の使用は場所によって（公園内など）では禁止されているの
　　　で注意。


⑥　国立天文台などの観測体制

・国際共同観測・航空機ミッション（ＰＩ：P.Jenniskens）

今回のしし座流星群の観測で世界的に最も期待されているのが、航空機２機を
用いた国際共同観測ミッションである。その中心になっているのが、ＮＡＳＡ
エイムス研究所のピーター・ジェニスケンスで、沖縄の嘉手納基地から航空機
を２機飛ばして、天候に左右されない同時観測を行い、様々な明るさの流星の
軌道決定を行うほか、ライダー（レーザーを打ち上げて、その反射波から上空
の物質を調べる装置）や、赤外線観測装置など、考えられるあらゆる装置を持
ち込む。
　日本からは、現在ＮＡＳＡジョンソンスペースセンターの矢野創氏が中心と
なって、特殊な高感度カメラを持ち込み、人工衛星などの衝突確率を左右する
微光流星の観測を行う予定である。さらに野心的な観測として、冷却ＣＣＤカ
メラの性能を生かし、これまではできなかった宇宙空間に浮いている流星体の
塵雲全体を撮影し、その分布と量を知ろうという試みもある。流星体塵雲の直
接検出を狙う神戸大学グループ（ＰＩ：中村良介）で、同時に地上観測も行う
予定である。

航空機ミッションについての情報 
　　 http://www-space.arc.nasa.gov/~leonid/science.html

・レーダー観測（京都大学超高層電波研究センターとの共同研究観測）

　　１９９０年から継続しているしし座流星群の活動度の変化の監視観測を、
京都大学超高層電波研究センターの信楽にあるＭＵレーダーを用いて行う（Ｐ
Ｉ：渡部潤一）ほか、京都大学独自の軌道速度などの決定のレーダー観測も行
いつつ（ＰＩ：佐藤亨、京都大学情報学研究科）、流星群による超高層大気の
変動を監視する予定である（ＰＩ：中村卓司、京都大学超高層電波研究センター）。

　レーダー観測についての情報
　　　　中村卓司（京都大学超高層電波研究センター助教授　0774-38-3815）
　レーダー観測の速報掲載情報
　　　　http://www.kurasc.kyoto-u.ac.jp/radar-group/mu/leonids/

・地上光学観測

　国立天文台では、航空機ミッションのバックアップの意味も含め、イメージ
・インテンシファイアーを用いたビデオ観測（微光流星計数、ＰＩ：渡部潤一）
と、冷却ＣＣＤによる塵雲撮像および流星軌跡観測（ＰＩ：福島英雄）、それ
に同じくＣＣＤカメラによる流星痕の分光観測（ＰＩ：阿部新助、総合研究大
学院大学博士２年）の３隊が、晴天を狙った移動観測を行う予定である。
　さらに、宇宙科学研究所では鹿児島県内之浦にある宇宙空間観測所（ＫＳＣ）
を拠点として、鹿児島大学、宮崎大学との共同で写真観測を行う予定である
（ＰＩ：吉川真、宇宙科学研究所）。
　このような写真観測、ビデオ観測は日本流星研究会などを中心にアマチュア
の間でも行われるはずである。
　また、変わったところでは電気通信大学の柳沢正久氏が、月面への流星体の
衝突による発光現象の観測を狙って観測を行う予定である。アポロ宇宙船がお
いてきた地震計には、こういった隕石や流星体衝突による振動が記録されてお
り、当然ながらしし座流星雨の時にも相当な流星体の衝突は期待される。


⑦　流星と光害について

　　市街地の人工光が上空の塵などに反射して、夜空を明るくするもので、天
体観測や動植物の生態に影響を及ぼすために、これを「光害」と呼び、各方面
でその防止が呼びかけられている。特に流星雨のような現象は、暗いものほど
数が多いために、明るい星しか見えない条件では数も激減する。したがって、
流星雨も光害の少ない場所で観測・観察したほうが迫力があり、各地で一時的
な消灯運動も起きている。国立天文台や世界各地の天文台、あるいは国際天文
学連合でも、流星雨の有無に関わらず、各方面に協力をお願いしている。また、
環境問題として、環境庁でも取り組みが始まっている。
　　資料として、環境庁作成のグリーン・ライティング・キャンペーンの報道
発表資料、および「星空を守る会」（会長・古在由秀前国立天文台長）の作成
したリーフレットを添付する。


「星空を守る会」　　　　会員数約２００名の任意団体

　　　　事務局：大友哲　　　０５５１ー４８ー３８２２
　　　　会長：古在由秀前国立天文台長

環境庁大気保全局大気生活環境室

        担当者：柏木、宍戸、宮内　　０３ー３５８１ー３３５１
　　　　　　　　　　　　　　　（内線６５４０、６５４１、６５４６）




～記者発表会場スナップ～
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