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「宇宙の電波を受けたりする PART2『並ぶパラボラの謎』」が科学技術映像祭 優秀賞を受賞

国立天文台が制作した映像作品「宇宙の電波を受けたりする PART2『並ぶパラボラの謎』」が、このたび第66回科学技術映像祭の優秀賞を受賞しました。

科学技術映像祭(主催:公益財団法人 日本科学技術振興財団ほか)は、優れた科学技術映像を選奨することを目的とした、日本で最も歴史と権威のある科学技術の映像祭です。第66回となる今回は、国内32機関から46作品の応募があり、18作品が入選しました。

表彰式は、来たる7月28日に都内にて執り行われます。また、入賞作品は科学技術館(東京都千代田区)のほか、全国各都市の科学館などで上映される予定です。

この作品は、天体から放出される電波を捉え、その姿を解明する電波天文学を扱っています。本編は、2部作となっているうちの2編目で、電波干渉計を用いた観測の原理とその観測成果を紹介しています。国立天文台野辺山宇宙電波観測所のミリ波干渉計や、南米チリのアルマ望遠鏡が、どのようにして高い解像度の天体画像を得ることができるのか、実写とCGを組み合わせて分かりやすく解説しています。

受賞の報に接し、制作の中心的な役割を担った国立天文台 天文情報センターの塩谷保久(しおや やすひさ)広報普及員は、次のように述べています。「このたびは、たいへん光栄かつ驚いています。なにしろ3年前にも入賞。つまり2回目です。制作のほとんどが内製、メインの映像スタッフはたったの3名。そして超低予算での制作だったのですから、受賞はほんとうにオドロキでした。しかも作品のテーマは電波望遠鏡。野辺山で電波望遠鏡を目の当たりにすると、その形と大きさにド肝を抜かれます。でもその仕組みや構造は、なかなか知られることがありません。とくに受賞作品のテーマとなっている電波干渉計の原理はとても難解です。そこで、できるだけ感覚的に理解してもらえるような作品を作ってみようと思ったのです。成功しているでしょうか? そしてこの動画を見てくださったみなさまには、ぜひ本物の電波望遠鏡も見学に行ってもらいたいと思います。宇宙からのかすかな電波を受け止める堂々たる電波望遠鏡たちの姿。その内部には、極めて巧妙かつ精密な仕掛けが秘められています。まさに宇宙を知ろうとする人類の情熱が込められているのです。ひときわの感動を覚えること受け合いです! 最後に、この作品の制作に携わったすべての方々に感謝申し上げます」。

また、監修にあたった野辺山宇宙電波観測所長を務める西村淳(にしむら あつし)准教授は、次のように述べています。 「電波天文学の装置は、大きなアンテナ、超伝導技術を使った受信機、スパコン顔負けの解析記録計など、誰をもひきつけるかっこよさがあるのですが、いざ本格的に勉強してみようとなると、数式も多いし実はなかなか難しい。今回の映像は、そんな電波望遠鏡の中でもとりわけ難解な干渉計を、かつてない分かりやすさで解説しておりオススメです。電波天文台が注目を集めている昨今に、映画をきっかけに電波天文学を知った人が、この作品を通して、より知の深みにハマっていってくれると嬉しいです」。

国立天文台は、さまざまな分野の天文学を分かりやすく伝えるための映像制作にも力を入れています。撮影やCG制作、編集といった作業だけでなく、脚本・演出も専門チームが行い、オリジナルのコンテンツを制作しています。さらに、専門の研究者による監修ができるという強みを生かしています。制作した作品は、今回の受賞作品をはじめ、YouTube国立天文台チャンネルで公開しています。

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