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「レプソルド子午儀及びレプソルド子午儀室」が日本天文遺産に認定
国の重要文化財に指定されている「レプソルド子午儀」と、その建屋で登録有形文化財となっている「レプソルド子午儀室」(子午儀資料館)が、「レプソルド子午儀及びレプソルド子午儀室」として第6回(2023年度)日本天文遺産に認定されました。
レプソルド子午儀は、有効口径135ミリメートル、焦点距離2120ミリメートルの、近代天文学黎明(れいめい)期の本格的な観測装置です。1880(明治13)年にドイツのA. レプソルド・ウント・ゾーネ(A. Repsold & Söhne)社で製造されたもので、当時の海軍省海軍観象台が購入し麻布飯倉(現在の東京都港区麻布台)の地に置かれました。東京大学天象台、海軍観象台、内務省地理局の3者が統合され東京大学東京天文台(当時は帝国大学東京天文台)が発足した1888(明治21)年に、東京天文台に移管され、同地で観測が続けられました。その後1924(大正13)年、東京天文台が北多摩郡三鷹村(現在の東京都三鷹市)に移転するのに伴いレプソルド子午儀も三鷹に移され、1925(大正14)年に完成したレプソルド子午儀室に据えられて、引き続き観測に供されました。
レプソルド子午儀は、麻布にあった頃には、時刻の決定とともに当地の経度の測定のための観測に使用されました。三鷹に移設された後はおもに、太陽系天体の観測や恒星の位置の観測に用いられ、恒星の精密位置カタログの制作のために、1963(昭和38)年まで活躍しました。レプソルド子午儀一式は2011年に国が指定する重要文化財に、またレプソルド子午儀室は2013年に国が登録する登録有形文化財(建造物)になりました。この日本の天文学史上貴重な観測機器であるレプソルド子午儀は、「子午儀資料館」として整備されたレプソルド子午儀室で保存されており、ともに国立天文台三鷹キャンパスで毎日一般公開されています。
日本天文遺産は、歴史的に貴重な天文学・暦学関連の遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えその普及と活用を図るために、公益社団法人日本天文学会が認定するものです。国立天文台が所轄する事物が日本天文遺産に認定されるのは、三鷹キャンパスにある「6mミリ波電波望遠鏡」(第2回(2019年度))、水沢キャンパスにある「臨時緯度観測所眼視天頂儀及び関連建築物」(第3回(2020年度))に続き、3件目です。