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出張授業「ふれあい天文学」実施校募集中

写真:授業の様子
写真提供:岸和田市立八木南小学校

国立天文台は、天文学者が全国の小中学校へ出向いて授業を行う事業「ふれあい天文学」を2021年度も行います。従来の訪問授業に加えて、昨年度に取り入れたオンライン授業も継続する予定です。

2010年度にスタートしたふれあい天文学では、例年40名を超える天文学者が講師となって、太陽や月のお話、星の誕生のしくみ、ブラックホールの不思議、太陽系を旅する宇宙旅行といった、星や宇宙の話題を全国の小中学校に届けてきました。昨年度は聾(ろう)学校、特別支援学校、夜間中学、世界各地の日本人学校や補習授業校などでも授業を行いました。現在、今年度の実施校を募集中です。申し込み方法など、詳しくはふれあい天文学のウェブサイトをご覧ください。たくさんのご応募をお待ちしています。

実施概要

対象
国内外の小学校(4年生以上)、中学校
授業時間
45~100分(1〜2コマ)程度
内容
天文学に関わる授業と質疑(詳しい授業内容は、学校と講師と相談の上決定)
実施期間
2021年10月から2022年2月の間(学校と講師と相談の上決定)
実施方法
講師を派遣する訪問授業、もしくはビデオ通話システム(Zoomを推奨)を利用したオンライン授業(学校と講師と相談の上決定)
応募締切
電子メール:2021年5月31日(月曜日)
注意事項
新型コロナウイルス感染症拡大の状況によっては、訪問授業をオンライン授業に切り替える場合があります
その他
この事業は「天文学振興募金」の支援を受けており、実施校の負担はありません

ふれあい天文学:申込みについて

授業の例

理科の授業の一環として、校内のイベントとして、国立天文台はこれまでさまざまな形で「ふれあい天文学」を行ってきました。例年は全国各地に天文学者を派遣していましたが、2020年度は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で、天文学者が学校に出向くことは困難だろうと考えていました。しかし、希望する学校があるなら事業を継続したいとの思いから、訪問授業だけでなくオンライン授業の可能性も探り、結果、国内69校、海外30校で授業を行うことができました。その中から、2020年11月19日の泉拓磨(いずみ たくま)特任助教による岸和田市立八木南小学校での授業をご紹介します。

授業の紹介:2020年宇宙の旅

実施校:大阪府 岸和田市立八木南小学校(2020年11月19日)
講師:泉拓磨(ハワイ観測所)

2年ほど前から、「ふれあい天文学」の講師として主に小学生を対象に授業をしています。小学校の授業内容に合わせて「地球」や「月」をテーマにした授業にとどめる…という手加減(?)は特にせず、今回も太陽系から太陽系外惑星、恒星系、天の川銀河、遠方銀河、超巨大ブラックホールと、とにかく天文学の最先端で登場する「天体」を概観する盛り沢山の内容にしました。日常生活では縁もゆかりもない天体の話が多いですが、身の回りのものや現象に例えて解説したり、事前に生徒から集めた質問への回答を授業に盛り込んだり、話のキーポイントはクイズや自由考察の形で児童に答えてもらったりと、なるべく双方向的かつ学習効果の高い授業になるように心がけました。

実際に授業をしてみると毎回驚くことなのですが、児童はみんな本当に、そんじょそこらの大人では太刀打ちできないくらいに理解度が高いです。授業中はもちろん休憩時間もひっきりなしに質問をしてくれて、私自身も話していてとても楽しく充実した時間を過ごせました。(実は授業後も含めると一番質問をくださるのは担任の先生だったりしますが(笑))

訪問授業だったので、授業の最後には「すばる望遠鏡」で撮った本物の観測写真を配布して、「この中から銀河を探して形を分類する」ゲームもしてみました。多様性に満ちた銀河の美しさに驚嘆する児童の表情がとても豊かで印象深かったです。実は写真の中には、私自身が研究している最遠方級の巨大ブラックホール天体が隠れているのですが、それを「これ??」と見つけてくる生徒がいて、一本取られたと驚きました。

「ふれあい天文学」以降は学校で宇宙の話をする児童が増えたと伺うことがあり、たいへん講師冥利に尽きると思っています。私のひそかな野望は、こうして授業をした児童が将来大学院生になり一緒に研究してくれること!その日を夢見て、今後も「宇宙へのきっかけ」となる授業を心がけます。

授業の様子
写真提供:岸和田市立八木南小学校
授業の様子
写真提供:岸和田市立八木南小学校

2020年度の授業例の報告記事

ご紹介したほかにも、海外の日本人学校や補習授業校、病院内の学校、聾(ろう)学校、通信制を主とする学校、夜間中学などでも授業を行いました。

「ふれあい天文学」ご支援のお願い

「ふれあい天文学」は、国立天文台の「天文学振興募金」による事業の一環として実施されており、皆様のご支援によって成り立っています。天文学者が天文学の魅力を後世へ伝える取り組みを今後も継続していくために、皆様のご寄附をお待ちしております。寄附の詳細については「天文学振興募金」のページをご参照ください。

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