• 広報ブログ

2025年1月の星空情報

著者近影内藤誠一郎(国立天文台 天文情報センター)

2025年1月の星空情報です。

新しい年の始まりを告げる初日の出。各地の日の出の時刻は、国立天文台のウェブページをご参照ください。

4日の未明には、三大流星群の一つにも数えられる「しぶんぎ座流星群」の活動が見られます。今年は、月明かりがない好条件での観察が期待できます。

深夜、空の高いところに赤く明るい星が目立っています。地球の隣の惑星、火星です。12日、火星と地球は2年2か月ぶりの接近を迎えます。16日には衝となり、最も明るく見える時期です。地球と火星は公転速度に差があるため、衝の前後は火星が星座の中を逆行して見えます。

夕方の南西の空では、圧倒的に明るい金星と、それよりもやや暗い土星が、1月を通してすれ違うように動いていきます。18日から19日にかけては最も近づき、双眼鏡では同じ視野に捉えられます。

このような惑星たちの複雑な運動を見て、人類は古代から宇宙の仕組みを考えてきました。2025年も、星空を通して天文学を楽しみましょう。

1月の月の暦

7日:上弦 14日:満月 22日:下弦 29日:新月

ワンポイント・アドバイス(惑星の運動について)

1等星が多く、一年の中でも特に星がにぎやかに感じられる季節ですが、この冬には明るい惑星がひしめき、さらに迫力を増している年明けの夜空です。

「惑星」とは、太陽の周囲を公転するそれ自体の動き、そして公転する地球から惑星が見える方向の変化によって、星座の中で位置を変えていくことから名づけられました。今月は、惑星の動きに注目しましょう。日の入り後、まだ夕焼けの残る空で真っ先に輝き出す金星。暗くなってくると、西の空に沈んでいく土星も見えてきます。それぞれ一つを見ていては日々の位置の変化があまり感じられないかもしれませんが、二つの惑星の位置関係は日々目に見えて変わっていきます。

深夜になると、火星の赤い輝きが目立ちます。地球のすぐ外側を公転する火星は、見かけの動きが大きくわかりやすい惑星です。通常は、星座の中を西から東へ向かって移動(順行)している火星は、12月から2月にかけては移動の向きを反転させています(逆行)。その最中に、最も明るく見える「衝」を迎えます。こうした複雑な火星の見かけの運動は、公転周期の早い地球が火星を追い越すことで起こります。エンターテインメント作品でもモチーフにされたように、天文学史を象徴するような火星の動きが、この冬も私たちの上で展開されているのです。

このページをシェアする