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2024年5月の星空情報

著者近影内藤誠一郎(国立天文台 天文情報センター)

2024年5月の星空情報です。

明け方、東の空に、土星が昇ってきます。地平線近くには、火星も姿を見せています。月初めと月終りには、月がこれらの惑星の近くを通ります。

5月上旬に活動の極大を迎える、みずがめ座η(エータ)流星群。出現する数はさほど多くありませんが、今年は観察に適した夜明け前の時間帯に月明かりの影響が少ないため、観察には好条件です。

暦の上では夏が始まりますが、夜空の主役は春の星座。北斗七星から伸びる「春の大曲線」をたどり、続いて「春の大三角」を見つけてみましょう。その周辺は、天の川銀河の外まで見通せる領域に当たり、たくさんの銀河が潜んでいます。

5月の月の暦

1日:下弦 8日:新月 15日:上弦 23日:満月 31日:下弦

ワンポイント・アドバイス(みずがめ座η流星群)

流星は、惑星間空間を浮遊する 小さな塵(ちり)が地球大気に衝突して高温になり、発生したプラズマが発光する現象です。太陽系内には、彗星(すいせい)などから放出された共通する軌道的特徴を持つ塵が、密集して分布している「塵の流れ」のような場所があります。その中を地球が通過することで、同じ方向から飛来する流星のグループが生じます。こうしたものを流星群と呼び、現在110の流星群の活動が確定されています。流星群の規模はまちまちで、活動が極大となる時でも出現する流星数が1時間あたりわずか数個程度のものも多く、活動が非常に不規則で平年は全く出現しない流星群さえあります。しかし、いくつかの流星群の場合は1時間あたりに数十個から百個以上の流星が出現し、多くの流星に出会いやすい機会をつくっています。

毎年5月上旬に活動するみずがめ座η流星群は、比較的活発に活動する流星群ですが、日本から見る場合は、日の出前の短い時間しか観察できず、放射点の高度も低いため、さほど多くの流星を期待できるわけではありません。しかし、今年は月明かりの影響が少ない好条件です。連休の頃、明け方の空に注目してみるのもよいでしょう。

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