ほしぞら情報2023年7月
金星が最大光度(2023年7月)

圧倒的に明るい宵の明星
年明けから、日の入り後の西の空で「宵の明星」として輝いてきた金星が、7月7日に最大光度を迎えます。このころの金星は、マイナス4.7等という明るさで輝きます。澄んだ空では、昼間の青空の中に肉眼でも見つけることができるほどです(白昼の金星を観察する際は、誤って太陽を見ないように十分注意してください)。
このころの金星を望遠鏡で観察すると、三日月を思わせる細く欠けた姿をしています。
満ち欠けし、明るさを変える金星
金星は、地球よりも内側を公転している惑星です。地球から見ると、太陽に照らされている面の見え方が異なるため、満ち欠けをして見えます。さらに、地球からの距離が大きく変化することで、金星の見かけの大きさも変化します。

地球から見て金星が太陽の向こう側に位置する「外合」のころ、金星は太陽の光が当たっている面ほぼ全体を地球に向けており、丸く満ちて見えます(注1)。しかし地球から金星までの距離は遠く、金星の視直径(注2)は小さくなります。そのため、明るさはマイナス3.9等ほどにとどまります。
外合を過ぎ、金星の見かけの位置が太陽から離れるにつれて、地球の側に回り込んでくる金星の、太陽の光が当たっていない影の部分が地球から見えてきます。このため、金星は徐々に欠けて見えるようになります。たとえば、金星の見かけの位置が太陽から最も離れる「最大離角」のころには半月のような形に見えます。見かけの形の変化と同時に、地球に近づくにつれて金星の視直径は大きくなっていきます。その兼ね合いで、徐々に金星の明るさが増していきます。
「最大光度」のころは、地球から見える金星面のうち太陽の光が当たっているのは4分の1ほどで、細く欠けた形に見えますが、視直径は外合の頃に比べて4倍近くも大きく見えるため、最も明るく見えることになるのです。
金星は、8月13日に地球から見て太陽の手前に位置する「内合」となります。この時に金星の視直径は最大になりますが、新月のようにほぼ影の部分を地球に向けているため、金星は一時的に暗くなっているはずです(注1)。こうした金星の満ち欠けは、約1年7カ月(583.9日)の周期で繰り返されます。
明るい金星は、空の低い位置にあっても存在感を放っています。機会があれば望遠鏡を使って、金星の形の変化を観察してみてください。ただし、金星の位置が太陽に近い時期は、誤って太陽を見てしまうと大変危険ですので、観察の際には十分に注意してください。
2023年6月4日 | 東方最大離角 |
2023年7月7日 | 最大光度 |
2023年8月13日 | 内合 |
2023年9月19日 | 最大光度 |
2023年10月24日 | 西方最大離角 |
2024年6月5日 | 外合 |
- (注1)外合、内合のころの金星は地球から見て太陽と同じ方向に位置しているため、実際に観察するのは極めて難しい。肉眼では見ることができないので注意。
- (注2)天球上における天体の見かけの直径のこと。度、分、秒の角度で表される(1度=60分角、1分=60秒角)。
(参照)暦計算室ウェブサイト :「今日のほしぞら 」では、代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)を簡単に調べることができます。こよみ用語解説 の天象 の項では、最大離角、衝、合、留などの惑星現象の用語について解説しています。