カノープスを見つけよう(2019年2月)

カノープス 観察のチャンス!
りゅうこつ座のカノープス(マイナス0.7等)は、おおいぬ座のシリウス(マイナス1.5等)に次いで全天で2番目に明るく見える星(恒星)です。しかし、日本の多くの地域でのカノープスの南中高度(南の空で最も高くなる時の高度)は低く、日本からは見つけにくい星でもあります(下表参照)。北日本では地平線より上に昇らず、見ることができません。平地での計算上の北限は、北緯約37.9度、おおむね福島県北端付近です。南の地域ほど南中高度が高く、比較的見つけやすくなります。
カノープスは白く輝く恒星です。しかし、空の低い位置に見える星は地球の大気の影響で、実際の明るさよりも暗く、赤みがかかった色に見えます。これもまた、カノープスを見つけにくくしている一因です。中国では、カノープスを「南極老人星(なんきょくろうじんせい)」と呼び、この星を見ると寿命が延びる、という伝説があるそうです。
夜更け前にカノープスが南中する2月は、観察のチャンスです。よく晴れた夜、南の空が開けた場所でカノープスを探してみましょう。上の図のように、冬の大三角やおおいぬ座のシリウスを目印にするとよいでしょう。
場所 | 南中高度 | 南中時刻(1日) | 南中時刻(11日) | 南中時刻(21日) |
---|---|---|---|---|
那覇 | 11.2度 | 22時08分 | 21時29分 | 20時49分 |
福岡 | 3.9度 | 21時57分 | 21時18分 | 20時38分 |
京都 | 2.5度 | 21時36分 | 20時56分 | 20時17分 |
東京 | 1.9度 | 21時20分 | 20時40分 | 20時01分 |
福島 | 0.1度 | 21時17分 | 20時38分 | 19時58分 |
※南中高度は大気の影響を考慮したもの
国立天文台の観測所で撮影されたカノープス
カノープスは南の地域ほど南中高度が高く、観察しやすくなります。また、カノープスの高度が高くなると地球の大気の影響が少なくなるため、カノープス本来の白い色で明るく輝く姿を見ることができます。国立天文台の観測所の中でも南の地域にあるハワイ観測所、チリ観測所、石垣島天文台で撮影された星空を紹介いたします。どの星がカノープスなのか、探してみてください。
コラム
天文学の現場から

国立天文台准教授
カノープスはおよそ300光年の距離にあります。国立天文台が開発を主導した位置天文観測衛星nano-JASMINE(ナノジャスミン)は、明るすぎて他の衛星では観測できないカノープスの距離を精度よく測定することができます。衛星本体は完成しており、打ち上げの機会を虎視眈々(こしたんたん)と待っています。
