• 広報ブログ

2025年3月の星空情報

著者近影内藤誠一郎(国立天文台 天文情報センター)

2025年3月の星空情報です。

日の入り後、西の空で真っ先に輝き出す、金星。2日には、細い三日月と並んで見えます。金星の高度は日ごとに低くなり、太陽との離角(注)が小さくなっていきます。月末には内合(地球から見て太陽の手前側を通過)を過ぎ、明け方の空へと移っていきます。

明るい金星を目印に、夕焼けが残る空の低いところにある水星を見つけてみましょう。太陽系で最も内側の軌道を公転する惑星は、「東方最大離角」を迎える8日の前後が観察の好機です。

おうし座の散開星団「すばる」(M45、プレアデス星団)は、古くからよく知られた天体です。肉眼でも見えるので、見つけてみましょう。5日の夜遅くには、西の空で月がすばるの星を隠します。月が星団の中を移動する様子は、双眼鏡で見るとより楽しめます。

空の高いところでは、木星と火星が目立ちます。1月に迎えた衝の前後で「逆行」していた火星は、普段の「順行」に戻っています。

  • (注)天球上における2天体の見かけの距離のこと。角距離。度、分、秒の角度の単位で表される(1度=60分角、1分=60秒角)。

3月の月の暦

7日:上弦 14日:満月 22日:下弦 29日:新月
14日には、満月が一部欠けた状態で昇ってくる「月出帯食(げつしゅつたいしょく)」となる地域があります。

ワンポイント・アドバイス(水星)

太陽に最も近い惑星である水星は、明け方や夕方の時間帯にごく低い高度でしか観察できません。地球から見て太陽と水星との離角が最も大きい位置関係になるとき(最大離角)が、観察の好機です。今回のように地球から見て水星が太陽の東側にある場合を、東方最大離角と呼びます。日の入り直後の西の空で見られます。

国立天文台ウェブサイト「ほしぞら情報」では、日の入り30分後の水星の高度が10度を超える条件の時に、比較的観察しやすい現象として取り上げています。とは言え、地上に高い建物等があると視界が遮られるので、西の方角がよく開けている場所で観察してみてください。また、薄明が残る空の中で探すことは簡単ではありませんので、見える方角などをあらかじめ調べておくとよいでしょう。今回は、近くにある明るい金星が見つけやすいため、よい目印になるかもしれません。

このページをシェアする