• 広報ブログ

2024年11月の星空情報

著者近影内藤誠一郎(国立天文台 天文情報センター)

2024年11月の星空情報です。

日が沈んで間もない夕空で、宵の明星・金星が輝いています。5日ころには細い月と並び、見どころです。

すっかり暗くなると、南の空で土星が目にとまります。金星が西に沈むころには、東から入れ替わるように明るい木星が昇ってきます。

深夜には、火星も東の空に現れます。赤い輝きが特徴です。

11月を通して、それぞれの惑星の近くを月が通り過ぎます。黄道と白道(注)、太陽系天体の通り道を意識してみましょう。

天頂にかかる「秋の四辺形」(ペガスス座)からたどると、アンドロメダ銀河(M31)が見つかります。天文学者ハッブルが距離を測定し、天の川の外の銀河であることが報じられてから、100年目の秋です。

11月の月の暦

1日:新月 9日:上弦 16日:満月 23日:下弦

  • (注)黄道は、天球上で太陽が移動していく道すじであり、惑星もほぼこの黄道に沿って移動する。地球の軌道面の天球への投影に当たる。一方、白道は天球上で月が移動していく道すじをいい、黄道面に対して約5度傾いている。

ワンポイント・アドバイス

注目を集めた紫金山・アトラス彗星は、十分に暗い空では10月末まで長い尾を楽しめたようです。このように淡い天体を見ることができる暗い空の下では、天の川や、遠くにある天の川と同様の天体「銀河」も探してみたい、秋の夜空です。

ペガスス座と一続きになったアンドロメダ座の中にある渦巻銀河M31(アンドロメダ銀河)の姿は、肉眼でもぼんやりと見ることができます。天文学者エドウィン・ハッブルがこの銀河の中にケフェウス座デルタ型変光星を発見し、当時考えられていた天の川の恒星の分布よりもはるか遠方にある、別の恒星の集団であると結論付けました。そのニュースが新聞に掲載され初めて世に報じられたのが、1924年11月であったと言います。

私たちが宇宙の広さに驚き、そして私たち自身が一つの「島宇宙」である天の川銀河の一員だと気づいたのは、このような秋の夜空でのことでした。

このページをシェアする