• 広報ブログ

2023年12月の星空情報

著者近影内藤誠一郎(国立天文台 天文情報センター)

12月の星空情報です。

毎年12月の見どころ、ふたご座流星群が、今年は好条件で見られます。流星の数が多くなるのは、13日から15日にかけて。ピークとなるのは15日明け方。放射点の高度が高く、月明かりの影響もありません。空の暗いところで、目をしっかりと慣らせば、多くの流星を見られそうです。

明け方の空には金星が明るく輝き、宵の空には土星や木星が見えています。明るい惑星が月と並ぶ姿も目を楽しませてくれるでしょう。

22日に冬至を迎え、一年の中で最も夜の長い時期となる12月。暖かくして、にぎやかな星空を楽しみましょう。

12月の月の暦

5日:下弦 13日:新月 20日:上弦 27日:満月

ワンポイント・アドバイス

毎年12月中旬に活動の極大を迎えるふたご座流星群は、年間で特に多くの流星が見られる流星群の一つです。2023年の極大は日本時間の12月15日の午前4時頃と予想されています。深夜にはふたご座にある放射点が高く昇っていることと相まって、14日深夜から15日未明に多くの流星が見られることが期待されます。今年は、13日に新月を迎えた直後で月明かりの影響がほぼ一晩中ない暗夜に当たることから、近年でも絶好の条件と言えるでしょう。

実際にどのくらいの数の流星が見られるかは、時間帯に加えて空の条件によっても大きく変わります。空が非常に暗い場所で観察すれば、1時間あたり数十個の流星を見ることができますが、街明かりの中では見られる数がその数分の1以下に減ってしまうでしょう。

流星を見つけるには、空の暗さに目を十分慣らすことが大事です。観察中はライトや携帯端末の画面など刺激の強い明るい光を避けましょう。しっかりと防寒対策をし、椅子やシートなど楽な姿勢を取る準備をして、安全な場所で時間をかけて観察するのがよいでしょう。

流星は、太陽系内に飛散している砂粒のような小さなダスト(流星塵(りゅうせいじん))が地球に高速で突入する際、高温になった粒子や大気の原子がプラズマとなって発光するものです。彗星(すいせい)などの母天体から放出され、母天体とほぼ同じ軌道で太陽系を回っているダストの群れが、毎年決まった時期に流星として見られるものを「流星群」と呼んでいます。

ふたご座流星群として見られるダストを放出したのは、小惑星フェートン((3200)Phaethon)。この小惑星には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心となって2024年度の打上げを目指して開発中の小型の宇宙機「DESTINY+」が接近し、その表面の観測や放出されたダストの分析を計画しています。

このページをシェアする