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2023年9月の星空情報
9月の星空情報です。
21日の夕方、さそり座のアンタレスが月に隠されます。アンタレスが月の縁から姿を現す「出現」は、暗くなり始めた空で見やすいでしょう。観察場所によって月の縁からの出現時刻や位置が違うことに、日本列島の広さを感じます。
夏の前半まで夕方の西の空に見えた金星が、今は「明けの明星」として東の空に輝いています。19日には最大光度となり、マイナス4.8等の明るさで目を引きます。東の地平線近くには、水星も現れます。西方最大離角となる22日前後が、見つけるチャンスでしょう。
29日は「中秋」。秋分に近い陰暦(太陰太陽暦)八月十五日は、秋の真ん中とされました。この夜の月は名月として愛されています。今年の月見は、満月を楽しめます。(注)
- (注)「中秋」の日付は、満月(望)となる日と一般的に一致しません。詳しい解説は暦Wiki 「名月必ずしも満月ならず」 をご参照ください。
9月の月の暦
7日:下弦 15日:新月 23日:上弦 29日:満月
ワンポイント・アドバイス
地球の周りを公転する月が、背景にある星を隠す現象を、月による「星食」または「掩蔽(えんぺい)」といいます。今回はアンタレスという明るい1等星の食で、全国で見られることから、観察のチャンスです。
アンタレスが月の背後に隠れる「潜入」は9月21日の17時過ぎ、日の入り前の明るい空での観察は難しいでしょう。再び姿を現す「出現」は18時30分過ぎ、日の入り後に空が暗くなっている地域では観察しやすくなります。アンタレスの出現は肉眼でも見ることができそうですが、双眼鏡や望遠鏡を用いるとより分かりやすくなります。予報時刻の少し前から観察を始め、出現の瞬間を待ってみましょう。
恒星と月は、地球の自転に伴って、天球上を東から西へと一緒に動いていくように感じます。しかし、地球の周りを公転している月は、遠くの恒星に対して刻々と東向きに移動しています。月がアンタレスに近づき、その手前を通り過ぎて、再び離れていくまでの、2つの天体の位置関係の変化をじっくりと見ていると、月の移動を実感することができるでしょう。
アンタレス食の時の月齢は6.3、上弦よりも欠けた七日月です。1週間あまり経つと、すっかり満ちた「十五夜の月」として現れます。今年の中秋は9月29日です。