国立天文台 メールニュース
No.138(2014年11月13日発行)アルマ望遠鏡、史上最高の解像度を達成 、ほか
____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.138 (2014年11月13日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ----------------------------------------------------------- もくじ ■アルマ望遠鏡、史上最高の解像度を達成 ■国立天文台講演会 「クール・ユニバース~アルマ望遠鏡でたどる私たちのルーツ」 ■大学共同利用機関シンポジウム2014「研究者博覧会」 ■板垣さん、おとめ座方向にある銀河に超新星を発見 ----------------------------------------------------------- ■アルマ望遠鏡、史上最高の解像度を達成 アルマ望遠鏡は、2014年10月24日に行った試験観測でこれまで最高の解像度 を達成し、画期的な画像の撮影に成功しました。 アルマ望遠鏡は、複数のパラボラアンテナを使って同時に天体を観測する 「電波干渉計」で、アンテナの間隔を離すほど解像度が向上します。今回、ア ルマ望遠鏡では、15キロメートルという過去最大のアンテナ展開範囲でおうし 座方向にある若い星「おうし座HL星」を対象とする試験観測を行いました。そ の結果、0.035秒角 (角度の1度の約10万分の1) という史上最高の解像度で、 この星を取り囲む塵 (ちり) の円盤を鮮明に捉えることに成功しました。この 解像度は人間の視力に換算すると2000に相当し、ハッブル宇宙望遠鏡が達成で きる典型的な解像度を上回ることになります。 今回の試験観測で撮影されたおうし座HL星とその周囲の画像では、中心にあ る星の周りを何重もの同心円状の塵の円盤が囲んでいる様子がはっきりと描き 出されています。また、この円盤の中にも何本かの間隙があることが見て取れ、 これはまさにこの円盤の中で惑星が成長しつつある証拠だと考えられます。 今後、アルマ望遠鏡によるこれまでにない高解像度の観測が可能となること で、惑星の誕生・成長過程の理解が飛躍的に進むことが期待されます。 ▽アルマ望遠鏡、「視力2000」を達成! ―史上最高解像度で惑星誕生の現場の撮影に成功 http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201411067466.html ■国立天文台講演会 「クール・ユニバース~アルマ望遠鏡でたどる私たちのルーツ」 国立天文台講演会「クール・ユニバース~アルマ望遠鏡でたどる私たちの ルーツ」を、来る12月7日に、国際交流会議場 (東京都江東区) を会場に開催 いたします。 2013年に本格観測を開始したアルマ望遠鏡は、宇宙の冷たい物質から放たれ る微弱な電波を観測し、宇宙における物質の進化を明らかにしようとしていま す。すでにアルマ望遠鏡による観測から、天文学の世界を変えるような大きな 発見も相次いでいます。今回の講演会では、アルマ望遠鏡による最新の研究成 果の一端をご紹介します。 開催概要 テーマ:クール・ユニバース~アルマ望遠鏡でたどる私たちのルーツ 日時:2014年12月7日 (日) 13時30分から17時まで (開場13時) 会場:東京国際交流館プラザ平成 国際交流会議場 (東京都江東区青海) アクセス 新交通ゆりかもめ「船の科学館」駅より徒歩約3分 http://www.jasso.go.jp/tiec/map.html 主催:自然科学研究機構 国立天文台 参加費:無料 その他:ご参加には事前のお申し込みが必要です (定員:400名、先着順) お申し込みは 11月17日 (月) より開始します 内容 開会あいさつ 講演1:アルマ望遠鏡の誕生、そして私たちの目に飛び込んできた新しい 宇宙のすがた 長谷川哲夫 (国立天文台チリ観測所所長 教授) 講演2:Sweet results from ALMA (アルマが見たスイートな宇宙) ※英語講演 (同時通訳つき) Ewine van Dishoeck (エヴィン・ヴァン・ディショック) (ライデン大学/マックスプランク地球外物理学研究所 教授) 講演3:マゼラン雲で巨大星団が誕生する 福井康雄 (名古屋大学大学院 理学研究科 教授) 講演内容、お申し込み方法等の詳細はウェブサイトをご覧ください。 多くの皆様のご参加をお待ちしています。 ▽国立天文台講演会 「クール・ユニバース~アルマ望遠鏡でたどる私たちのルーツ」 http://www.almasc2014.jp/public.html ■大学共同利用機関シンポジウム2014「研究者博覧会」 大学共同利用機関シンポジウム2014「研究者に会いに行こう!日本の学術研 究を支える大学共同利用機関の研究者博覧会」を11月22日に開催します。大学 共同利用機関が日々行っている最先端の研究とその成果をご紹介します。研究 者になりたい、最新の研究成果を知りたい、研究者と交流したい、という方は ぜひご参加ください。 多くの皆様のご来場をお待ちしています。 開催概要 日時:2014年11月22日 (土) 12時から17時まで 会場:東京国際フォーラム B7 (東京都千代田区) 主催:大学共同利用機関協議会 その他:参加無料、事前申し込み不要 内容 ・13時-16時 研究者が研究と自身のキャリアパスを語るトークセッション ・12時-17時 研究所の活動を紹介するブースセッション 詳細は、ウェブサイトをご覧ください。 ▽大学共同利用機関シンポジウム2014 「研究者に会いに行こう!日本の学術研究を支える大学共同利用機関の 研究者博覧会」 http://www.nibb.ac.jp/inter2014/ ■板垣さん、おとめ座方向にある銀河に超新星を発見 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、2014年10月29日 (世 界時) の観測から、おとめ座方向にある M61 (NGC 4303) 銀河に13.6等の超新 星を発見しました。この発見は国際天文学連合電報中央局に報告され、この 超新星は「2014dt」と命名されました。この天体の発見日時と位置は次のとお り。 ・発見日時 2014年10月29.838日 = 10月29日20時7分 (世界時) ・発見位置 赤経 12時 21分 57.57秒 赤緯 +4度 28分 18.5秒 (2000年分点) 板垣さんによる超新星の発見は、今年に入ってから8個目、通算の発見数は 98個 (独立発見を含む) となりました。 なお、この銀河には、2006年11月に超新星「2006ov」、2008年12月に超新 星「2008in」が出現しており、ともに板垣さんによって発見されました。 ▽参照 CBET No. 4011 : SUPERNOVA 2014dt IN M61 = PSN J12215757+0428185 (2014 Nov 1) ▽日本人が発見した超新星一覧 http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2014年11月13日 ___________________________________________________________________