自然科学研究機構 国立天文台

火星が見頃、月が火星に接近(2022年12月)

星座の中の火星の動き 2022年9月1日から2023年3月31日
画像サイズ:中解像度(2000 x 1265) 高解像度(5500 x 3480)

火星が衝(12月8日)

12月1日に地球に最接近した火星が、12月8日に「衝(しょう)」となります。「衝」とは、太陽系の天体が、地球から見て太陽とちょうど反対側になる瞬間のことです。この頃の火星は、太陽が沈むころに東北東の空から昇って、日の出のころに西北西の空に沈むので、一晩中観察することができる時期となります。なお火星は、この衝の頃にマイナス2.0等と最も明るく輝いて見られます(注)

星空の中を逆行する火星

火星などの惑星は、太陽の周りを公転しているため、星座の中での位置を変えていきます。星座の中を惑星が西から東(上の図では右から左)へと移動していくことを「順行」、東から西(同、左から右)へと移動していくことを「逆行」と言います。逆行は、太陽系の中で火星の内側を公転する地球が、火星を追い抜くように移動する際に、その移動する地球から見える現象です。

順行から逆行、または逆行から順行へと移動方向が変わるときには、惑星の移動が止まったように見えます。この現象のことを「留(りゅう)」といいます。2022年10月まで順行を続けていた火星は、10月30日の留を境に逆行へと転じます。その後、12月1日の地球最接近、12月8日の衝を経て、2023年1月13日の留まで火星の逆行は続きます。その後、再び順行へと転じます。

このように火星が順行から逆行、そして再び順行となって見えるのは、地球と火星が太陽の周りを公転している証拠でもあります。太陽系の惑星の動きへと思いをはせながら、星座の中の火星の移動を観察してみてはいかがでしょうか。

満月が、衝を迎えた火星に接近

月が火星に接近 2022年12月7日から8日 19時頃 東京の空
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火星がちょうど衝を迎える頃、12月7日から8日にかけて、月がこの火星に近づいて見えます。12月8日は満月でもあり、まん丸の月に寄り添うように、赤っぽく明るく輝く火星の姿が目を引くことでしょう。満月と衝は、地球から見た天体が太陽と反対側になるという意味で同じ現象です。同じ日に起こるのは単なる偶然ですが、地球から同じ方向に見えるわけですから、この日に月と火星が近づいて見えるのも納得でしょう。

月と火星が最も近づくのは12月8日の正午過ぎで、日本は昼間で見ることができません。日本で最も近づいて見えるのは、12月8日の夕方の月の出の直後で、その後、月と火星は高い空へと昇っていきながら少しずつ離れていきます。

なお、火星最接近などの話題は「火星が地球に最接近(2022年12月)」のページで解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。

(注)惑星などの天体(この場合は火星)では、一般的に接近距離が近くなるほど明るくなる傾向にありますが、距離があまり変わらない場合には、衝の付近でより明るくなります。これを「衝効果」と言います。今回の火星の明るさは、最接近時がマイナス1.9等なのに対し、衝付近ではマイナス2.0等となります。 本文へ戻る

(参照)暦計算室ウェブサイト国立天文台暦計算室の「こよみの計算」では、各地の月の出入り時刻、惑星の出入り時刻などを調べることができます。また暦象年表の「太陽系天体の出入りと南中」でも、各地の惑星の出入り時刻などを調べることができます。「今日のほしぞら」では、代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)を簡単に調べることができます。また「天象」では、惑星の衝や留などの日時を調べることができます。