皆既月食(2021年5月)

皆既月食 2021年5月26日 月食中の月の位置
画像サイズ:中解像度(2000 x 1265) 高解像度(5500 x 3480)

2021年、最も地球に近い満月が皆既月食になる

5月26日の夜、皆既月食が起こります。この月食は、日本全国で観察することができますが、北海道西部、東北地方西部、中部地方西部、西日本では欠けた状態の月が昇ってくる「月出帯食」となります。

各地での予報は下の表のとおりで、月の出(注1)以外の時刻は、各地同じとなります。月は、18時45分から欠け始め、20時09分に皆既食となります。皆既となった月は、「赤銅色(しゃくどういろ)」と呼ばれる、赤黒い色に見えます。皆既食は20時28分に終わり、その後は徐々に欠けた部分が小さくなっていき、21時53分に部分食が終わります。
これ以外の地域については国立天文台暦計算室の「月食各地予報」で調べることができます。また、月食の起こるしくみや今後の情報については、天文情報の基礎知識の「月食とは」で紹介しています。

地名月の出(注1)部分食の始まり皆既食の始まり食の最大皆既食の終わり部分食の終わり
那覇19時07.3分月は地平線の下20時09.4分20時18.7分
(食分1.015)
20時28.0分21時52.8分
福岡19時11.8分月は地平線の下
京都18時52.7分月は地平線の下
東京18時37.5分18時44.6分
仙台18時39.5分
札幌18時51.4分月は地平線の下
2021年 月の地心距離の変化と満月
画像サイズ:中解像度(2000 x 1265) 高解像度(5500 x 3480)

5月26日の満月は、2021年で地球に最も近い満月でもあります。月は5月26日10時50分に近地点(注2)を通過し、皆既中の20時14分に満月の瞬間(望)となります。このときの地心距離(注3)は約35万7000キロメートル、月の視直径(注4)は33分25秒角です。

2021年 満月の距離のちがい
画像サイズ:中解像度(2000 x 1265) 高解像度(5500 x 3480)

月は、地球の周りを公転しています。月の軌道は円形ではなく楕円形をしているため、地球と月との距離は一定ではありません。また、月の軌道は太陽や地球などの重力を受けて変化するため、満月や新月のときの距離は、上の図のように毎回異なります。地球に最も近い位置で起こる満月は、最も遠くで起こる満月に比べて、視直径が約14パーセント大きく、約30パーセント明るく見えます。2021年で最も遠い満月は、12月19日です。上の図で比較すると、月の大きさの違いがわかりやすいのですが、実際の夜空に月を二つ並べて比較することはできません。月を眺めて大きさの変化に気づくのは、たいへん難しいでしょう。

最近では大きく見える満月に対して「スーパームーン」などの名称もよく聞くようになりました。この名称を耳にし、それをきっかけに月を、そして空を眺めてみたという方もいらっしゃるでしょう。きっかけは何であれ、ぜひ、さらにその先にある、宇宙の面白さにも目を向けてみてください。

  • (注1)ここでの「月の出」は、月の上辺が地平線と一致する時刻を示しています。国立天文台が普段発表している「月の出」(月の中心が地平線と一致する時刻)とは定義が異なります。 本文へ戻る
  • (注2)近地点・遠地点:1公転の間で月が地球に最も近づく点を「近地点」地球から最も遠ざかる点を「遠地点」といいます。 本文へ戻る
  • (注3)地心距離:地球の中心と天体の中心(この場合は月の中心)の間の距離。実際には私たちは地表から月を見ているため、地心距離が同じであれば、頭の真上近くに見える月は地平線近くに見える月よりも、地球の半径分(約6400キロメートル)私たちに近いことになります。 本文へ戻る
  • (注4)視直径:天体の見かけの大きさで、角度で表します。このページで示している視直径は地心距離に基づいて計算しています。 本文へ戻る

参照:

ライブ配信予定

このページをシェアする