月食とは
月食の起こるしくみ
地球と月は太陽の光を反射して輝く天体です。地球にも太陽の光による影があり、太陽とは反対の方向に伸びています。この地球の影の中を月が通過することによって、月が暗くなったり、欠けたように見えたりする現象が「月食」です。
月食は、太陽-地球-月が一直線に並ぶとき、つまり、満月の頃だけに起こります。ただし、星空の中での太陽の通り道(黄道)に対して月の通り道(白道)が傾いているため、ふだんの満月は、地球の影の北側や南側にそれたところを通ります。そのため、満月のたびに月食が起こるわけではありません。

月食の起こるしくみを説明した動画もご覧いただけます。
月食の種類
地球の影には「本影(太陽光がほぼさえぎられた濃い影)」と「半影(本影を取り囲む薄い影)」の2種類があり、月がどちらの影に入り込むかによって、月食の呼び方が変わります。
半影食
月の一部または全部が半影だけに入った状態。半影は薄い影なので、目で見ただけでは月が欠けているかどうか、はっきりとはわかりません。
本影食
月の一部または全部が本影に入った状態。一般的に「月食」というと、「本影食」のことを指します。本影は濃い影なので、月がはっきりと欠けたように見えます。月の一部だけが本影に入り込む現象が「部分食」、月の全てが本影に入り込む現象が「皆既食」です。
地球の影に対する月の動き
地球の影に対する月の動きを示したのが以下の図です。
月は、地球の半影と本影を横切って、おおよそ右から左(西から東)へと進んでいきます。

画像サイズ:中解像度(2000 x 1265) 高解像度(5500 x 3480)
皆既中の月の色
皆既食中には、月が本影の中に完全に入り込みます。しかし、皆既食中の月は真っ暗になって見えなくなるわけではなく、「赤銅(しゃくどう)色」と呼ばれる赤黒い色に見えます。
これはなぜでしょう。
地球のまわりには大気があります。太陽光が大気の中を通過する際、波長の短い青い光は空気の分子によって散乱され、大気をほとんど通過することができません。一方、波長の長い赤い光は散乱されにくく、光は弱められながらも大気を通過することができます。これは、朝日や夕日が赤く見えるのと同じ理由です。また、大気がレンズのような役割を果たし、太陽光が屈折されて本影の内側に入り込みます。このかすかな赤い光が皆既食中の月面を照らし、月が赤黒く見えるのです。

皆既食中の月の色はいつも同じではありません。大気中にチリが少ないと大気を通り抜ける光の量が多くなり明るいオレンジ色に、逆にチリが多いと大気を通り抜ける光の量が少なくなり、黒っぽく見えます。