日本全国で部分日食(2020年6月)

[特設ページ]部分日食(2020年6月21日)
(ライブ配信を予定しています)

2020年6月21日 部分日食 東京での見え方
画像サイズ:中解像度(2000 x 1265) 高解像度(5500 x 3480)

部分日食を安全に観察しよう

6月21日の夕方、日本全国で部分日食が起こります。アフリカからアジアにかけて一部の地域では金環食が起こりますが、日本では部分食となります。

日食とは、月が太陽の前を横切るため、月によって太陽の一部(または全部)が隠される現象です。

太陽は、たいへん強い光と熱を出している天体です。そのため、肉眼で直接太陽を見ると、たとえ短い時間であっても目を痛めてしまいます。太陽が欠けていても、また、地平線に近づいて光が穏やかになったように感じても、光と熱が強烈であることには変わりません。安全な方法で観察しなければ、最悪の場合は失明する危険性があります。日食グラスなど専用の観察器具を正しく使って、安全な方法で観察してください。

前回日本で日食が起こったのは2019年12月26日でした。このときはアジアの一部地域で金環食となり、日本では部分食が起こりました。次に日本で日食が起こるのは2023年4月20日で、このときオセアニアなどの一部地域では皆既食が、日本では一部地域で部分食が起こります。また、次に日本全国で部分食が起こるのは2030年6月1日です。このときは北海道の大部分で金環食となります。

今回以外の日食の詳しい状況は、国立天文台暦計算室の「日食各地予報」をご覧ください。

日本国内のおもな地点における日食の予報

2020年6月21日部分日食 各地での最大食分時の太陽の形
画像サイズ:中解像度(2000 x 1265) 高解像度(5500 x 3480)
主な地点での日食予報
地名食の始め食の最大食分(注1)面積比(注2)食の終わり
那覇15時59分36秒17時16分41秒0.8370.79018時23分11秒
福岡15時59分40秒17時09分33秒0.6180.52418時11分23秒
京都16時06分34秒17時09分58秒0.5270.42018時06分54秒
東京16時11分13秒17時10分12秒0.4710.35818時03分43秒
仙台16時12分05秒17時07分09秒0.4000.28417時57分37秒
札幌16時12分45秒17時00分56秒0.2900.17917時45分50秒
  • (注1)食分:月によって覆われた太陽の直径の度合い。表に戻る
  • (注2)面積比:月によって覆われた太陽の面積の割合。表に戻る

上記以外の地点の予報は、国立天文台暦計算室の「日食各地予報」をご覧ください。

絶対にやってはいけないこと

下記のようなことは、目を痛めますので絶対にやってはいけません。

見た目ではあまりまぶしく感じなくても、光の遮断が不十分なものや目に有害な波長の光を通しやすいものを使うと、網膜を損傷してしまう危険性があります。(写真は、実際には太陽を見ないようにして撮影したものです)

太陽を直接見る様子
肉眼で直接見る(数秒でも危険)
望遠鏡で太陽を観察している様子
望遠鏡や双眼鏡を使う (注3)
下敷きで太陽を観察している様子
色つき下敷きやCDを使う (注4)
フィルムの切れ端で太陽を観察している様子
フィルムの切れ端を使う (注5)
すすを付けたガラス板で太陽を観察している様子
すすを付けたガラス板を使う
サングラスで太陽を観察している様子
サングラスやゴーグルを使う
日食グラスを使って望遠鏡や双眼鏡を覗いている様子
日食グラスを使って望遠鏡や双眼鏡をのぞく
  • (注3) 望遠鏡や双眼鏡は、太陽の光や熱を集めて強くするため、肉眼で太陽を見る以上に危険ですが、専門家によって適切な減光を施された双眼鏡や望遠鏡は、日食観察に用いることができます。本文に戻る
  • (注4) 太陽観察に対応した下敷きも販売されています。本文に戻る
  • (注5) 専門家によって、銀塩の白黒フィルムを適切に露光・現像して作られたネガは、日食観察に用いることができます。 本文に戻る本文に戻る

安全な観察方法

日食を安全に観察するには、「ピンホールを利用する」、「日食専用のグラスや遮光板を使う」、「望遠鏡を使って太陽投影板に投影する」などの方法があります。詳しい観察方法につきましては「観察のしかた」の「安全な観察方法」をご覧ください。

(参照)

今回の日食を観察する際の注意点

今回の部分日食では、日食時の太陽高度が低いことと、新型コロナウイルス感染症対策に配慮して、以下のような点にも気をつけて観察をしてください。

  1. 太陽の高度が低いと、太陽の光が弱くなります。そのため、「日食専用のグラスや遮光板を使う」方法では、太陽の像が暗くて見えづらい場合があるかもしれません。そのようなときでも、日食専用グラスや遮光板を使わずに太陽を見ることは絶対にやめてください。太陽を直接見てしまうと、たいへん強い光や熱により目に回復できない損傷を受ける可能性があります。
    ※日食専用のグラスや遮光板は、インターネットショップなどでも入手できるようです。
  2. 太陽の光が弱いため、「ピンホールを利用する」方法では、太陽の形がはっきりと見えないことがあります。
  3. 太陽の高度が低いため、近くの建物などが邪魔になって太陽が見えない場合があるかもしれません。そのようなときでも、他人との接触機会が増えないよう、家の近くで観察しやすい場所を見つけ、遠出をせずに観察してください。

コラム
天文学の現場から

山岡均
山岡均
国立天文台准教授

日食の予報には、正確な時刻の決定と、地球の自転速度や姿勢の測定が欠かせません。江戸時代に幕府天文方がつかさどっていた暦の決定の役割は、現在では国立天文台の暦(れき)計算室が担っています。また、水沢地区に原子時計を設置し、日本の時刻決定と報時(ほうじ)に貢献しています。
暦計算室ウェブサイト

2017年8月21日 皆既日食(米国オレゴン州セイラム)の皆既日食の写真。内部コロナとプロミネンス。

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