地球に最も近い満月(2020年4月)

地球から月までの距離は変化する!
4月8日の満月は、2020年で地球に最も近い満月です。月は3時9分に近地点(注1)を通過し、11時35分に満月となります。満月の瞬間の地心距離(注2)は約35万7000キロメートル、視直径(注3)は33分27秒角です。満月の瞬間となる11時35分には、日本ではまだ月が昇っていないため、見ることができません。
一方、10月31日の満月は2020年で地球から最も遠い満月です。月が満月となるのは23時49分で、そのときの地心距離は約40万6000キロメートル、視直径は29分25秒角です。
4月8日の満月は10月31日の満月に比べて、視直径が約14パーセント大きく、約30パーセント明るく見えます。ただ、もし上の図のように地球に最も近い満月と最も遠い満月を並べて比較できれば大きさの違いがよく分かるはずですが、比較なしに月を眺めて大きさの変化に気づくのはたいへん難しいでしょう。
また、ここで言う距離が地心距離であることにも注意が必要です。私たちは地表から月を見ていますので、地心距離が同じなら、頭の真上近くに見える月は地平線近くに見える月よりも、地球の半径分(約6400キロメートル)私たちに近いことになります。地平線に近い月はとても大きく見えますが、それは錯覚です。視直径を正確に比べると、実際には頭の真上近くの月のほうがほんのわずかですが大きいのです。

上の図は月と地球の距離の変化を表しています。なぜ、このように距離が変化するのでしょうか?
月は、地球の周りを公転しています。月の軌道は円形ではなく楕円形をしているため、地球と月との距離は一定ではありません。また、月の軌道は太陽や地球などの重力を受けて変化するため、近地点や遠地点での距離は、上の図のように毎回異なります。満月における地心距離は、およそ35万6000キロメートルから40万7000キロメートルの間で変化します。そして、月の視直径は、地球と月との距離が近いときには大きく、遠いときには小さくなるのです。
- (注1)近地点・遠地点:1公転の間で月が地球に最も近づく点を「近地点」地球から最も遠ざかる点を「遠地点」といいます。 本文に戻る
- (注2)地心距離:地球の中心と天体の中心(この場合は月の中心)の間の距離。本文に戻る
- (注3)視直径:天体の見かけの大きさ。このページで示している視直径は地心距離に基づいて計算しています。本文に戻る
(参照)暦計算室ウェブサイト:「今日のほしぞら」では、代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)を簡単に調べることができます。暦wiki「大きな満月、小さな満月」には、満月の大きさの変化に関する詳しい説明があります。
「スーパームーン」や、月の見かけの大きさの変化などについて詳しく解説しています。