南米で見られる皆既日食(2019年7月)

月が太陽を隠すとき
7月3日、南太平洋から南アメリカ大陸の帯状の地域で、太陽が月にすっぽり隠される皆既日食が見られます。残念ながら、日本からはまったく見ることができませんが、地球の反対側で起こる日食を楽しむために多くの日食ファンが出かけていくことでしょう。南米と言えば、チリのアタカマ砂漠にアルマ望遠鏡がありますが、ここは皆既帯(太陽が月に完全に隠れる帯状の地域)からはずれているので、8割ほど欠ける部分食となります。アルマ望遠鏡から直線距離で800キロメートルほど離れた都市ラ・セレナでは皆既食となり、2分あまりの間、黒い太陽を見ることができます。天気に恵まれれば、ダイヤモンドリングやコロナを楽しむことができるでしょう。
この日食に関する詳しい予報は、国立天文台暦計算室の「日食各地予報」をご覧ください。
日食を見るときは、観察のしかたを参考にしてください。太陽を直接見てはいけません。必ず、日食グラスなどを使用し、目を傷めないように安全な方法で観察してください。
コラム
天文学の現場から

国立天文台助教
チリ北部に広がるアタカマ砂漠は、世界で最も乾燥した場所のひとつと呼ばれ、天文観測には絶好の場所です。国際協力で運用されるアルマ望遠鏡の建設地にアタカマが選ばれたのも、電波観測の大敵である水蒸気が少ないから。人が生活するには厳しい場所ですが、そのぶん素晴らしい観測成果を挙げ続けています。
