TOPIC 06
宇宙の成り立ちと構造形成に迫る
すばる望遠鏡はその集光力と広視野観測能力によって、宇宙を広く深く探査することができる。宇宙全体の歴史を探る宇宙論的観測は、その能力がいかんなく発揮される分野である。銀河の空間分布を遠くまで詳しく調べることは、宇宙における構造形成を知る上で欠かせない。主焦点に搭載されたファイバー多天体分光器FMOSはこの探査に挑戦し、130億光年彼方までの銀河の分布地図を作ることに成功した。このデータから、遠方宇宙で大規模構造が成長していく速度についての情報が得られた。
- [ウェブリリース]130億光年彼方での一般相対性理論の検証~アインシュタインは間違っていなかった?~
- [参考文献]Okumura et al. 2016, PASJ, 68, 38, “The Subaru FMOS galaxy redshift survey (FastSound). IV. New constraint on gravity theory from redshift space distortions at z ~ 1.4”

超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)の広視野と優れた結像性能は、数多くの銀河の「像」を詳しく調べることを可能にする。銀河と私たちの間に重力源があると、その重力のために銀河の像がゆがんでしまう。逆に、このゆがみから、見えない重力源=ダークマターの空間分布が分かる。こうしてすばる望遠鏡は、2000万個の銀河の像を解析して、宇宙空間に広がるダークマターの3次元地図を作ることに成功した。これは、これまでに人類が得た中で最大かつ詳細なダークマター地図である。さらに、その詳細な解析から、宇宙での物質集積の様子が、これまでの理論予測よりもごくわずかにゆっくりである可能性が示唆された。
- [ウェブリリース]かつてない広さと解像度のダークマター地図
- [参考文献]Oguri et al. 2018, PASJ, 70, S26, “Two- and three-dimensional wide-field weak lensing mass maps from the Hyper Suprime-Cam Subaru Strategic Program S16A data”
- [参考文献]Miyazaki et al. 2018, PASJ, 70, S27, “A large sample of shear-selected clusters from the Hyper Suprime-Cam Subaru Strategic Program S16A Wide field mass maps”
