すばる望遠鏡が観た宇宙の姿 ―すばる望遠鏡20年の研究成果―すばる望遠鏡が観た宇宙の姿 ―すばる望遠鏡20年の研究成果―

TOPIC 04
すばる望遠鏡が探る銀河の世界

すばる望遠鏡は近傍銀河の観測でも活躍した。微光天体分光撮像装置FOCASのファーストライト観測で得られたスターバースト銀河M82の画像は、銀河から噴き出す電離ガス(スーパーウィンド)の様子を、それまでにないシャープさで捉え、その詳細構造を明らかにした。

スターバースト銀河M82の可視光画像
スターバースト銀河M82の可視光画像。FOCAS撮影。銀河中心部での活発な星生成活動によって噴き出された電離ガス(スーパーウィンド)の構造をシャープに写し出した。(クレジット:国立天文台)

2014年から稼働を始めた超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)は、その広視野と高解像度によって、近傍銀河を取り巻く星の種族と分布を調べることを可能とし、銀河考古学を進展させた。M81、M82、NGC 3077という3つの銀河からなる銀河群を、HSCで広域観測した結果、この近傍銀河群の中を漂う星の年齢と分布が明らかになった。過去の銀河相互作用が銀河進化・銀河間空間進化にいかに影響を及ぼすのかについて、詳しく知るための重要な手がかりを与えたのである。

渦巻銀河M81周辺の可視光画像
渦巻銀河M81周辺の可視光画像。HSC撮影。隣のスターバースト銀河M82や楕円銀河NGC 3077と重力相互作用している様子を広域観測で写し出した。(クレジット:国立天文台/HSC Project)