• トピックス

気球実験Sunrise-Ⅲ/SCIPの観測画像を初公開

近紫外線偏光分光装置(SUSI)で取得された黒点および周辺部、可視光撮像偏光分光装置(TuMag)で取得した4つの黒点画像、近赤外線偏光分光装置(SCIP)によって観測された、太陽上空の大気である彩層および表面である光球における放射強度および磁場の分布,を合成した画像
左:近紫外線偏光分光装置(SUSI)で取得された黒点および周辺部。中央:可視光撮像偏光分光装置(TuMag)で取得した4つの黒点画像。右:近赤外線偏光分光装置(SCIP)によって観測された、太陽上空の大気である彩層(左半分)および表面である光球(右半分)における放射強度(上)および磁場(下)の分布。(クレジット:MPS/Sunrise III/Teams: SUSI, TuMag, SCIP, CWS, Gondola) 画像(1.4MB)

太陽を高高度で観測する気球実験Sunrise-Ⅲは、2024年7月に成層圏での観測を実施しました。今回は、約6.5日間のフライト観測で得た約200テラバイトという膨大なデータの中から、初期成果の一部を紹介します。

今回の観測では、太陽表面での大きさが約50キロメートルという微細な構造を撮像することに初めて成功しました。また、現在の太陽は極大期を迎えて活動度が非常に高いため、黒点が成長していく様子やダイナミックな活動現象に加え、2回の太陽フレアを観測することにも成功したのです。

このプロジェクトは国際協力のもとで実施されています。中でも国立天文台が主導して開発した近赤外線偏光分光装置(SCIP)は、近赤外線帯における数十本の吸収線を同時観測しました。それぞれの吸収線は異なる太陽大気高度の状態を反映するため、磁場・速度・温度などの3次元構造を把握することができます。また、数分間しか継続観測できないロケット観測と比べた気球観測の利点を生かして、これらの3次元構造の時間変化を数時間にわたって連続的に観測することに成功しています。

なお、スペインのアマチュア天文家チームが4台のカメラをSunrise-Ⅲのゴンドラに搭載し、離陸から着陸までのフライトの様子を「自撮り」しました。あわせてご覧ください。

このページをシェアする