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トーマス・ズブーキンNASA科学局長らが国立天文台を訪問
米国航空宇宙局(NASA)の科学局長を務めるトーマス・ズブーキン氏と、同天体物理学部門ディレクターを務めるマーク・クランピン氏ら一行5名が、2022年12月1日に国立天文台三鷹キャンパスを訪問されました。
一行は、先端技術センターの3Dプリンターを用いたアルマ望遠鏡用の部品製造の現場や、超電導受信機などを、熱心に視察されました。また、4D2Uドームシアターの上演では、小久保英一郎(こくぼ えいいちろう)教授による解説に聞き入った様子でした。さらに同日開催された談話会で、ズブーキン氏とクランピン氏が、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の初期結果について詳しい講演を行いました。その後に設けられた台長、副台長との懇談会でも、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の開発のほか、今後の宇宙科学における日米の協力や、TMT計画への期待など、広範なテーマに話が及びました。
ズブーキン氏は、太陽・太陽圏物理学、宇宙実験研究、宇宙システムの研究がご専門で、太陽観測衛星「ようこう」を使った研究論文も書かれています。NASAの探査衛星計画では、「ユリシーズ」、「メッセンジャー」、「アドバンスト・コンポジション・エクスプローラー(ACE)」といった諸計画に関わってきました。また、ミシガン大学工学部では、教員への起業支援や学生への起業教育を提供する「Center for Entrepreneurship」の創設ディレクターを務められました。
過去40年近いあいだ、日本はNASAとの緊密な連携のもと、X線天文学、太陽物理学、磁気圏物理学等で顕著な成果を挙げてきました。これには、国立天文台が中心となった太陽観測ロケット実験「CLASP」シリーズの3機の観測ロケット実験も含まれ、「NASAの観測ロケットで最も成功した実験の一つである」との評価をいただきました。
今回、NASA本部科学局の代表団による国立天文台の訪問が、日本での非常に忙しいスケジュールのなかで実現したことは、地上からと宇宙からの天文学研究における国際協力の進展を示すものです。今後のNASAと国立天文台との、一層の協力関係の発展を期待して、一同別れを惜しみました。