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日江井 榮二郎名誉教授が瑞宝中綬章を受章
日江井榮二郎(ひえい えいじろう)国立天文台名誉教授・元明星大学学長が、令和4年春の叙勲にて「瑞宝中綬章(ずいほうちゅうじゅしょう)」を受章しました。太陽物理学研究の第一人者である日江井氏の、長年にわたる研究・教育分野での顕著な功績がたたえられました。
日江井氏は、1955年から国立天文台(当時は東京天文台)で、1992年からは明星大学で、長く太陽物理学の研究を続け、多くの成果を生み出されました。加えて、優れた見識と豊富な学識経験をもって、国内外で後進の指導・教育と、天文学の普及に尽力されました。また、1998年4月から2002年3月までは明星大学の学長を務められました。
日江井氏は、太陽塔望遠鏡を用いた分光観測から、数十キロメートルという微小サイズで太陽フレアが輝くことを故末元善三郎(すえもと ぜんざぶろう)東京天文台長(当時)と共に発表しました。その後は、皆既日食や乗鞍コロナ観測所での観測から、当時は直接観測が困難だった希薄な太陽コロナと彩層の研究に取り組みました。とくに皆既日食の際には、世界で初めて採用した観測方法で高品質のスペクトルデータを得ることに成功し、彩層の物理構造を解明しました。1991年に打ち上げられた太陽観測衛星「ようこう」では指導的な役割を果たし、日英協力による観測装置の主任研究者を務めました。「ようこう」衛星の観測から生み出された多くの成果の中でも、とくにフレア爆発の引き金と考えられている構造の形成過程を初めて明らかにしました。
令和4年春の叙勲受章者は、去る4月29日付で発令されました。