• トピックス

ワン特任研究員が日本天文学会研究奨励賞を受賞

本賞を受賞したケネス・ワン特任研究員
本賞を受賞したケネス・ワン特任研究員(クレジット:国立天文台)

国立天文台ハワイ観測所のケネス・ワン特任研究員が、このたび2021年度日本天文学会研究奨励賞を受賞しました。受賞対象となった研究は、「強い重力レンズを用いた観測的宇宙論の研究」です。

ワン研究員は、重力レンズ効果の影響を受けたクエーサーの観測から宇宙の膨張率を測定するという独創的な研究を進める国際研究チームの一員であり、その中でも主導的な役割を果たしてきました。研究の結果得られた膨張率は、Ia型超新星を用いた近傍宇宙での値に近く、初期宇宙の観測から得られる膨張率より大きな値でした。宇宙の膨張率を、従来とは異なる手法を用いて導き出したこの研究は、近傍宇宙と初期宇宙の食い違いを支持し、標準宇宙論モデルに修正を迫るものです。また、宇宙論と、天文学の幅広い分野に大きなインパクトを与えるだけでなく、その後の多くの関連研究へつながるなど、新しい研究の潮流を作っています。

ワン研究員は、Hyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム)を用いたすばる戦略枠プログラム(HSC-SSP)にも参加しています。強い重力レンズワーキンググループの共同議長の一人として活躍するほか、HSC-SSPデータを用いて、視線方向の物質が強い重力レンズの観測に与える影響を検証するなど、この分野においても主導的な役割を果たしています。

日本天文学会研究奨励賞は、1988年に創設された日本天文学会による表彰制度で、優れた研究成果を挙げている若手研究者を表彰するものです。この受賞記念講演は日本天文学会2022年春季年会会期中の3月5日にオンラインで行われました。

関連リンク

このページをシェアする