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4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka」、宇宙をよりリアルに描く最新版を公開

今回のアップデートでは、土星探査機カッシーニのグランドフィナーレの再現や、光の反射の物理モデルに基づいた土星リングや月の描画、位置天文観測機ガイアのデータから作成した天の川テクスチャの追加、表示言語に中国語の追加、など多くの新機能が盛り込まれました。

4D2U プロジェクトが開発する4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka」は、観測や理論で得られた天文学のデータを用いて、様々な天体や宇宙の階層構造を、インタラクティブに見ることができるソフトウェアです。4D2Uプロジェクトのウェブページから無料でダウンロードし、手元のコンピュータで利用することができます(注1)。その最新版となるバージョン1.4が2017年7月に公開されました(注2)

今回のアップデートでは、2017年9月15日にグランドフィナーレをむかえる土星探査機カッシーニの立体モデルと土星突入までの軌道データを更新し、ミッションの最後の様子を忠実に再現できるようになりました。メニューからプリセットを選択して簡単に土星突入の様子を観察することができます。また探査機の描画では法線マップ(注3)の手法を使うことで、探査機の表示が本物の質感に近づきました。学校授業や講演会などで、カッシーニの話題を取り上げる際にぜひご利用下さい。

また、土星リングの粒子や月の表面における光の反射・散乱を物理モデルに基づいて計算することで、よりリアルに土星や月の姿を描くことが可能になりました。裏側から見ると土星リングの濃い部分が暗く見える様子や、土星リングや月表面における衝効果(注4)による明るさの変化を再現することができます。月では法線マップの手法も用いることで、地形データが無くても月表面の凹凸による影を描画できるようになりました。まるで写真のような月の姿をお楽しみください。

その他、位置天文観測機ガイアの立体モデルと軌道の追加、ガイアが取得した全天約11億の恒星の位置と明るさのデータから作成した天の川のテクスチャの追加、標準で表示可能な言語として中国語(簡体字・繁体字)を追加、さらに番組やメニューをユーザーが自由にカスタマイズできるようになるなど、多くの機能が追加されています。また、バーチャルリアリティ(VR)用ヘッドセットでこれらの機能を楽しむことができるMitaka for VR バージョン1.4(注5)も同時にリリースしました。ぜひ、すべての方向に広がる最新の宇宙像をMitaka for VRでも体験してみて下さい。

Mitaka ダウンロードページ

(注1)利用に際しては、「利用上のご注意」をご覧ください。本文へ戻る

(注2)2017年7月にバージョン1.4.0を、2017年9月1日にバージョン1.4.1をリリースしました。本文へ戻る

(注3)3Dコンピュータグラフィックスにおける描画方法の一つで、オブジェクト表面の各点の法線ベクトルをテクスチャマッピングと同様の方法で与えることで、ポリゴンを増やさずに面の詳細な凹凸による陰影を再現する方法。本文へ戻る

(注4)観測対象(天体やその一部)が観測者から見て太陽と正反対の位置(衝)にあるときに、際だって明るく見える現象。土星リングや月、水星、火星、小惑星などで観測されています。本文へ戻る

(注5)Oculus Rift (CV1)と、HTC Viveで動作を確認しています。本文へ戻る

図:Mitakaバージョン1.4では、土星探査機カッシーニのグランドフィナーレの様子を忠実に再現。
Mitakaバージョン1.4では、土星探査機カッシーニのグランドフィナーレの様子を忠実に再現。探査機や土星リングなどの見え方がこれまでのバージョンから大きく改善され、よりリアルに描き出すことができるようになった。(Credit:4D2U Project, NAOJ)オリジナルサイズ(4.3MB)
図:土星探査機カッシーニのグランドフィナーレまでの軌道
土星探査機カッシーニのグランドフィナーレまでの軌道。「メニュー」>「プリセット」>「カッシーニのグランドフィナーレ(遠景)」で簡単に表示できる。(Credit:4D2U Project, NAOJ)オリジナルサイズ(4.3MB)
図:旧バージョン(1.3)と今回公開された新バージョン(1.4)の裏から見た土星リングの見え方の違い
旧バージョン(1.3)と今回公開された新バージョン(1.4)の裏から見た土星リングの見え方の違い。新バージョンでは、土星リングの濃い部分が暗く影になって見えている。(Credit:4D2U Project, NAOJ)オリジナルサイズ(6.5MB)
図:旧バージョン(1.3)と新バージョン(1.4)の月の見え方の違い
旧バージョン(1.3)と新バージョン(1.4)の月の見え方の違い。月表面の光の反射の計算に物理モデルを取り入れたほか、法線マップの方法を用いることで、地形データが無くても月のクレーターを描くことができるようになった。(Credit:4D2U Project, NAOJ)オリジナルサイズ(6.5MB)
図:バージョン 1.4.1から、標準で中国語(簡体字・繁体字)の表示が可能となった
バージョン 1.4.1から、標準で中国語(簡体字[左]・繁体字[右])の表示が可能となった。(Credit:4D2U Project, NAOJ)オリジナルサイズ(6.5MB)
図:位置天文観測機ガイアによって取得された約11億の恒星の天球上の位置と明るさのデータから作成した天の川テクスチャ
位置天文観測機ガイアによって取得された約11億の恒星の天球上の位置と明るさのデータから作成した天の川テクスチャ。銀河中心方向のまだデータが取得されていない部分が黒いストライプになって見えている。ガイアの立体モデルと軌道も追加された。(Credit:4D2U Project, NAOJ)オリジナルサイズ(16.8MB)
図:本バージョンから「番組」と「スクリーンメニュー」をユーザーが自由にカスタマイズできるようになった
本バージョンから「番組」と「スクリーンメニュー」をユーザーが自由にカスタマイズできるようになった。画像は、メニューにおおぐま座の恒星「メグレズ」をターゲットとして追加した例。(Credit:4D2U Project, NAOJ)オリジナルサイズ(3.3MB)
図:バーチャルリアリティでMitakaを楽しむことができるMitaka for VRも最新バージョン1.4に対応
バーチャルリアリティでMitakaを楽しむことができるMitaka for VRも最新バージョン1.4に対応。画像はHTC Viveで体験している様子。Oculus Rift(CV1)にも対応している。(Credit:NAOJ)オリジナルサイズ(16.9MB)

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