自然科学研究機構 国立天文台

日本が開発したアルマ望遠鏡バンド4受信機による初めての天体電波画像の撮影に成功

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2013年1月に実施されたアルマ望遠鏡試験観測により、日本が開発したバンド4受信機による初めての天体電波画像の撮影に成功しました。観測対象となったのは、へびつかい座にある原始星(赤ちゃん星)IRAS16293-2422で、この天体の周囲に存在する硫化炭素分子(CS)が発する電波をとらえ、その分布を画像化しました。

硫化炭素分子が放つ電波で観測した、原始星IRAS16293-2422を取り巻くガス
硫化炭素分子が放つ電波で観測した、原始星IRAS16293-2422を取り巻くガス。電波のドップラー効果を測ることで、この原始星の周囲を分子雲がどのような速度で動いているかを調べることができる。
日本が開発したバンド4受信機とアルマ望遠鏡
日本が開発したバンド4受信機とアルマ望遠鏡。受信機はアンテナのキャビン部に収められている。

今回のバンド4受信機試験観測では、アルマ望遠鏡のアンテナのうち日本が開発した直径7mアンテナ6台で、へびつかい座の方向約400光年の位置にある原始星IRAS16293-2422を観測しました。生まれたばかりのこの原始星の周囲には、星が生まれるもととなった大量のガスが取り巻いています。今回の試験観測では、そのガスに含まれる硫化水素分子(CS)が放射する周波数147 GHzの電波を観測しました。硫化水素分子は、ガスの密度が高いところで強く電波を出すため、生まれたばかりの星のすぐ近くにあってこれから星に取り込まれていくガスの様子を観測するのに適しています。バンド4受信機で観測できる周波数帯では、このほか低温の星形成領域に多く分布するホルムアルデヒド(H2CO)や重水素化合物、複数の炭素原子が一直線につながった炭素鎖分子が電波を出すことが知られています。

国立天文台先端技術センターでバンド4受信機開発チームリーダーを務める鵜澤佳徳 准教授は、「私たちが作り上げてきたバンド4受信機で初めて天体の電波画像を撮影することに成功したことを聞き、とてもうれしく思います。開発には数多くの技術的課題がありましたが、チーム一丸となって課題をひとつひとつクリアすることでここまでたどり着くことができました。世界の天文学者がこの受信機を使って宇宙の謎を解いてくれることを期待しています。」と述べています。

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