- 研究成果
すばる望遠鏡のアーカイブデータから偶然明らかになった彗星の素顔
すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSCで撮影し公開されているアーカイブ画像から、偶然写り込んでいた彗星(すいせい)の姿が見つけ出されました。太陽からの距離が離れた時期にあった彗星から、その本体の性質に迫る研究成果が得られました。すばる望遠鏡の集光力、視野の広さ、そして観測画像の公開によって実現可能となった研究です。
彗星は氷や塵(ちり)から成る小天体で、太陽系が生まれた約46億年前の状態を現在も保っていると考えられています。彗星の本体である「彗星核」を詳しく調べることで、太陽系の成り立ちを知る重要な手掛かりを得ることができます。しかし、彗星は太陽に近づくと氷が蒸発して、ガスや塵から成る雲「コマ」が生じ、彗星核が覆い隠されてしまうために、地上から彗星核を直接観測した例はごく限られていました。
産業医科大学や京都産業大学、国立天文台などの研究者から成る研究チームは、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSCを用いた大規模サーベイプログラム(HSC-SSP)で取得され公開されている観測画像に注目しました。軌道が明らかになっている彗星は、撮影された日時にどこに位置していたかを計算できます。研究チームが観測記録を精査した結果、2016年に撮影された画像に、太陽と地球の間の距離の10倍以上太陽から離れた、土星よりも遠い位置にあるネウイミン彗星(28P/Neujmin)が写り込んでいるのを見つけ出しました。この時のネウイミン彗星にはコマが生じておらず、彗星核の姿が直接捉えられていました。そのうえ、太陽の光を真正面から受ける状態で地球から観測されていたのです。
彗星核は、反射率が低く赤みを帯びたタイプの小惑星とよく似ていると考えられてきました。ところが、今回捉えられたネウイミン彗星は、太陽光の反射の仕方がこのような小惑星とは異なっていました。太陽の光を真正面に反射する時、小惑星に比べて光をより多く反射して、明るくなっていたのです。これは、彗星核と小惑星とでは、表面を構成する粒子の大きさや粒子どうしの隙間の空き具合が異なっていることを示唆しています。
今回の成果は、すばる望遠鏡の集光力、視野の広さ、そして観測画像の公開という3つの強みが組み合わされたことで得られたものです。研究チームを率いる産業医科大学の大坪貴文(おおつぼ・たかふみ)助教は、「HSC-SSPは遠方銀河のサーベイを主目的としていますが、当初の観測目的ではなかった太陽系小天体の研究においても思わぬ大きな発見を生み出したことになります」と、今回の研究の意義を語っています。
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すばる望遠鏡のアーカイブから見つかった彗星の素顔
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