- 研究成果
宇宙誕生12億年後、銀河は「住む場所」ですでに育ち方が違っていた
すばる望遠鏡の観測で発見した126億光年彼方にある大規模な原始銀河団を、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)で調べた結果、銀河が密集した場所にある銀河は、そうでない場所にある銀河に比べて、その成長に差があることが分かりました。銀河団という宇宙最大級の構造が育ち始めた場所では、その中の銀河もすでに特別な進化を始めていたことを示す結果です。
銀河は宇宙に一様に散らばっているのではなく集団を作っていること、さらに数百から数千個の銀河が集まって巨大な銀河団を形成していることが分かっています。初期の宇宙では、物質がやや濃く集まった領域が重力によって成長して「銀河団のたまご」を作り、それがやがて銀河団へと進化していきました。この銀河団のたまごにあたるのが「原始銀河団」です。現在の宇宙では、銀河団の中にある銀河は、孤立した銀河と比べてさまざまな違いが見られます。この「環境効果」は原始銀河団が作られ始めた頃から存在したのか、それとも銀河団が成熟してから現れたのか、これまでよく分かっていませんでした。
国立天文台などの研究者から成る研究チームは、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSCを用いた広域探査により、宇宙誕生から12億年後の宇宙に大規模な原始銀河団を発見しました。この原始銀河団の愛称「ロクタク原始銀河団」は、研究チームがインド北東部のマニプール州にあるロクタク湖にちなんで呼んでいるものです。
研究チームは、JWSTによる観測画像を用いて、ロクタク原始銀河団中の銀河が密集した場所にある銀河と、同じ時代の平均的な環境にある銀河との比較を行いました。その結果、現在まさに星が生まれている領域の大きさを比べると、両者の銀河では目立った差はありませんでした。一方で、過去から現在までに生まれた星全てを含む領域の大きさ(銀河全体の大きさ)は、密集した場所にある銀河のほうが平均で約1.4倍あることが分かりました。銀河が存在する場所、つまり環境によって、銀河の成長に差が出ていたのです。銀河団が完成するずっと前の段階で、すでに環境が銀河の進化を左右していたことが明確に示されました。
宇宙誕生から12億年後という非常に早い時期に、「住む場所」によって銀河の成長のしかたが変わっていたことになります。これは銀河の進化を決めるのは、銀河自身の質量や内部条件だけではなく、周囲の環境も宇宙の初期から重要な役割を果たしていたことを意味します。今後、さらなる観測を組み合わせることで、このような環境効果が初期宇宙で一般的な現象なのか、それともロクタク原始銀河団に特有のものなのかが明らかになると期待されます。
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宇宙誕生 12 億年後、銀河は「住む場所」ですでに育ち方が違っていた
すばる望遠鏡