自然科学研究機構 国立天文台

観測史上最古、131億年前の銀河に吹き荒れる超巨大ブラックホールの嵐

研究成果

図:銀河の中心にある超巨大ブラックホールがもたらす銀河風が吹き荒れるようす(想像図)
銀河の中心にある超巨大ブラックホールがもたらす銀河風が吹き荒れるようす(想像図)。超巨大ブラックホールから放出される膨大なエネルギーによって、星の材料である星間ガスが吹き飛ばされています。 Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO) オリジナルサイズ(23.3MB)

131億年前の宇宙に存在した銀河の中で吹き荒れる強烈な「銀河風(ぎんがふう)」を、アルマ望遠鏡を用いた観測で発見しました。このような大規模な銀河風が見つかった銀河としては、観測史上最古のものとなります。今回の発見は、銀河とブラックホールが互いに影響を及ぼし合いながら進化してきた歴史を解く、重要な手掛かりとなります。

大型の銀河の中心には、太陽の数百万倍から数百億倍もの質量の超巨大ブラックホールが隠れています。ブラックホールの質量は銀河中央部の質量にほぼ比例することから、両者は互いに影響を及ぼし合いながら進化したと考えられています。この進化に大いに関与するのが銀河風です。ブラックホールに落ち込む物質から放出される膨大なエネルギーは、ブラックホール周囲のガスを外へ外へと押し出し、それが銀河全体に吹き荒れる風、つまり銀河風となります。銀河風は星を作る材料である星間ガスを銀河の外へと追い出すため、銀河の中で星が生まれにくくなります。ブラックホールがもたらす銀河風は、銀河の進化に影響を及ぼすことになるのです。こうした銀河風は、138億年の宇宙の歴史の中でいつから存在していたのでしょうか。この疑問に対する答えは、銀河と超巨大ブラックホールがどのように影響を及ぼし合いながら進化してきたのかを知るための重要な鍵となります。

すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)は、その広い視野を生かした観測で、ブラックホールを持つ銀河を130億年以上昔の宇宙に多数発見しています。その一つをアルマ望遠鏡で観測し、銀河内のガスの動きを分析したところ、秒速500キロメートルもの速さで移動する高速ガス流が存在することが分かりました。これはまさに銀河風であり、このような大規模な銀河風が見つかったものとしては最古の銀河となります。推定されたこの銀河の中央部の質量と、別の方法で見積もったブラックホールの質量とを比べたところ、現代の宇宙にある銀河での比とほぼ一致していました。宇宙誕生から10億年足らずという早い時期に、銀河とブラックホールが互いに影響を及ぼし合って進化していたことを示唆していると考えられます。

研究グループは今後、さらにブラックホールを持つ銀河を早期の宇宙で多数観測することを計画しています。そして今回捉えたような現象が、早期の宇宙で普遍的なものかどうかを明らかにしたいと考えています。

この研究成果は、Takuma Izumi et al. “Subaru High-z Exploration of Low-Luminosity Quasars (SHELLQs). XIII. Large-scale Feedback and Star Formation in a Low-Luminosity Quasar at z = 7.07”として、米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル』に2021年6月14日付で掲載されます。

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