自然科学研究機構 国立天文台

宇宙の重量級同士のまれな出会い—合体の過程にある超大質量ブラックホールを発見—

研究成果

今回見つかった二重クェーサー「SDSS J141637.44+003352.2」
今回見つかった二重クェーサー「SDSS J141637.44+003352.2」。私たちから47億光年の距離にあり、2つのクェーサー同士は1万3000光年離れている。クレジット:Silverman et al. オリジナルサイズ(171KB)

すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、以下HSC)が捉えた3万個以上のクェーサーの中から400個以上の二重クェーサー候補が選び出され、これらを他の大望遠鏡を用いて追観測を行った結果、3つの二重クェーサーが特定されました。そのうちの2つは新たに判明したものです。二重クェーサーは、銀河が合体する過程でそれぞれの銀河中心にある超大質量ブラックホールが明るく輝いているもので、これを詳しく調べることで、銀河の合体や進化、超大質量ブラックホールの成長過程などの研究が進むことが期待されます。

宇宙では、銀河同士が衝突し合体するという、たいへんダイナミックな現象が頻発しています。銀河の中心には、質量が太陽の数百万倍から数十億倍にも及ぶ超大質量ブラックホールが存在し、そこに大量のガスが流入すると銀河全体よりも明るく輝くクェーサーとして観測されます。銀河が衝突・合体する時にはガスの流入量が特に多くなり、2つのブラックホールが二重クェーサーとなった姿が見られると期待されていますが、2つのクェーサーが同時に輝く期間は短く、また見つけるためには、広い観測領域と近接した2点を分解できる高い解像度との両方が必要であるため、多くの二重クェーサーを見つけて研究を進めることは困難でした。

東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙機構(Kavli IPMU)の研究者を中心とし、国立天文台の研究者も参加する国際共同研究チームは、すばる望遠鏡に搭載されたHSCで撮影された画像の中から既知の3万4476個のクェーサーを調べ、その中から2つもしくはそれ以上の光点を持っているとみられる天体を421個選び出しました。これらが真の二重クェーサーであることを確かめるため、他の大望遠鏡による追観測を実施した結果、今回はまず3つの二重クェーサーを特定しました。このうちの2つは、これまでに知られていなかったものでした。このことから、全クェーサーのうち0.3パーセントは、銀河の合体の過程で超大質量ブラックホールが2つ存在していると推定されました。 今後も研究チームでは二重クェーサーの特定を続け、銀河や超大質量ブラックホールの合体や進化について理解を深めることを目指しています。

この研究成果は、J.D. Silverman et al. “Dual Supermassive Black Holes at Close Separation Revealed by the Hyper Suprime-Cam Subaru Strategic Program”として、米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル』オンライン版に2020年8月26日付で掲載されました。

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