自然科学研究機構 国立天文台

巨大銀河の核は120億年前にはすでにできていた

研究成果

120億年前の宇宙に見つかった「静かな」銀河
画像中央の白丸の中にある赤い天体が今回発見されたもの。分光観測によって銀河の中の星の運動を調べた結果、銀河の「核」を成す部分は120億年前にはすでにできあがっていたことが分かりました。(クレジット:国立天文台)オリジナルサイズ(2.7MB)

国立天文台などの研究者から成る研究チームは、すばる望遠鏡とケック望遠鏡の観測によって、天の川銀河よりも重い銀河を120億年前の宇宙に発見しました。この銀河は星を作る活動をやめようとしている「静かな」銀河で、こういった銀河の中では最も遠方で見つかったものです。さらに、研究チームが銀河の中の星の運動を調べた結果、銀河の「核」を成す部分は120億年前にはすでにできあがっていたことが分かりました。これは銀河形成史を解き明かす上で重要な発見です。

宇宙には実に多くの銀河が存在していますが、これらの銀河は大きく2つのタイプに分けられます。「元気な」銀河と「静かな」銀河です。銀河はガスから星を作る星の生産工場で、多くの銀河は活発に星を作って明るく輝く「元気な」銀河です。一方は、何かしらの原因で星を作ることをやめてしまった「静かな」銀河です。銀河が静かになる理由はまだ明らかになっていませんが、星を作る活動がとても弱く静かになりかけている銀河が、その謎を解明する鍵を握っていると考えられています。

研究チームは、すばる望遠鏡が時間をかけて暗い天体まで写し出した宇宙の領域「すばるXMMニュートンディープフィールド」で発見した静かな銀河を、ケック望遠鏡に搭載された近赤外線分光装置を用いて詳細に観測しました。その結果、この銀河は120億光年かなた、つまり120億年前の宇宙にあることが分かり、また、星を作る活動が弱まっていることも確認できました。これは今までに知られている静かな銀河の中では最も遠く古いものです。宇宙の歴史の中で最初に星形成をやめて静かになるのは、非常に重い銀河と考えられていますが、今回見つかった銀河も実際に重い銀河でした。静かになり行く銀河の謎に迫る上で、とても意義のある発見です。

さらに、銀河の「核」が120億年前にほぼできあがっていたことも明らかになりました。今回見つかった120億年前の宇宙にある銀河の星は、現在の宇宙にある重い銀河の星とほぼ同じ速度で動いていると観測されました。つまり、120億年前の銀河の中心部分(核)は、すでに現在の宇宙にある重い銀河と同じような状態になっていたのです。今まで、同様の測定で発見された最も古い銀河は110億年前のものでしたが、これまで考えられていた以上に、銀河の核が早い時期に形成されていたことを物語っています。

「どのように巨大な銀河が生まれ、育ち、そして死んでしまうのか。銀河の核ができたのはいつだったのか。これらの謎を解くために、さらに遠い、昔の宇宙を探査します」と、研究チームは今後の展開について意気込みを語っています。

本研究成果は米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に2019年11月6日付で出版されました。

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