自然科学研究機構 国立天文台

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ガス雲を振り回す野良ブラックホール-天の川銀河中心の近傍に潜む中間質量ブラックホールのより確かな証拠-

研究成果

図:ガス雲を振り回す中間質量ブラックホールの想像図
ガス雲を振り回す中間質量ブラックホールの想像図 オリジナルサイズ(4.6MB)

アルマ望遠鏡が、天の川銀河中心付近にある特異な分子雲のこれまでにない詳細な構造を捉えました。その運動を解析したところ、太陽の3万倍もの質量を持つブラックホールの存在が明らかになりました。この結果は、天の川銀河の中心付近にこのようなブラックホールが他にも多く潜んでいる可能性があることを示しています。

多くの銀河の中心には、太陽の数百万倍から100億倍もの質量を持つ超大質量ブラックホールがあることが知られていますが、これらがどのようにしてできたかは宇宙における大きな謎の一つとされています。理論的には、太陽の数百倍から10万倍程度の質量を持つ「中間質量ブラックホール」が“種”となり合体・成長することで、超大質量ブラックホールが形成されると考えられています。しかし、いくつかの報告例はあるものの中間質量ブラックホールの確たる存在証拠はまだ得られていません。

今回、国立天文台野辺山宇宙電波観測所の竹川俊也特任研究員と慶應義塾大学理工学部物理学科の岡朋治教授らの研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、天の川銀河の中心核「いて座A*(エー・スター)」から約20光年離れた位置に発見された異常な速度を持つ分子ガス雲について、高解像度の電波観測を行いました。そして、この分子ガス雲は複数のガス流から成り、それらが「見えない重力源」に強く引っ張られるように公転運動をしている様子を捉えたのです。詳細な運動解析により、太陽系よりもずっと小さな領域に太陽の3万倍にも匹敵する莫大な質量が集中していることが明らかになりました。このことは、天の川銀河中心核の近くに重い中間質量ブラックホールが漂っていることを強く示唆します。

本研究は、超大質量ブラックホールの起源解明や銀河進化の理解につながるだけでなく、周辺のガスの運動を調べるという、ブラックホール探査の新たな扉を開く可能性があるという点で極めて重要な成果です。本研究成果は、Takekawa et al. ' Indication of Another Intermediate-mass Black Hole in the Galactic Center 'として1月20日発行の米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に掲載されました。

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