自然科学研究機構 国立天文台

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巨大ブラックホールのコロナ加熱の謎は深く ―アルマ望遠鏡が周辺磁場を初めて測定―

研究成果

巨大ブラックホール周辺を取り巻くコロナの想像図
巨大ブラックホール周辺を取り巻くコロナの想像図 オリジナルサイズ(4.1MB)

アルマ望遠鏡は、銀河の中心にある巨大ブラックホールを取り巻くコロナからの電波放射を観測し、コロナの磁場強度の測定に初めて成功しました。測定された磁場強度は弱く、これまでの巨大ブラックホール周辺構造の理解に修正を迫るものと考えられます。銀河中心にある巨大ブラックホールの周辺には、太陽と同じように高温プラズマのコロナが存在します。太陽のコロナは磁場によって加熱されていることから、ブラックホールのコロナの加熱源の一つとして、磁場の存在が提唱されていました。しかし、これまでにブラックホール周辺の磁場は観測されておらず、その真相は謎に包まれていました。

2014年に、理化学研究所の井上芳幸(いのうえ よしゆき)上級研究員や宇宙航空研究開発機構の土居明広(どい あきひろ)助教は、コロナからの電波放射の存在を予言し、それが観測できれば磁場測定が可能となり、コロナの加熱機構を解明できることを理論的に示しました。今回彼らは、地球から2.2億光年の距離にある活動銀河IC 4329Aと、5.8億光年の距離にある活動銀河NGC 985を、アルマ望遠鏡を使って高感度・高解像度で観測しました。その結果、自らの予言どおり、いずれの銀河の巨大ブラックホールからもコロナ由来の電波放射を捉えることに成功しました。しかし、その電波放射成分から計算によって導かれたコロナの磁場強度は、従来の理論予測よりもはるかに小さく、磁場ではコロナを十分に加熱できないことが判明しました。磁場は主要な加熱源ではなかったのです。

活動銀河において磁場は、コロナ加熱だけではなく、高エネルギージェットの形成にも大きな働きをしていると考えられています。銀河中心の巨大ブラックホール周辺の理解に、アルマ望遠鏡はこれからも活躍していきます。

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