- 研究成果
明らかになった幻の流星群の構造と親天体の活動度~第1次南極地域観測隊の発見から58年ぶりの観測
総合研究大学院大学極域科学専攻(国立極地研究所)の大学院生である藤原康德氏と中村卓司教授を中心とするグループ、および、かわさき宙と緑の科学館の佐藤幹哉天文担当職員と国立天文台の渡部潤一教授を中心とするグループは、2014年12月の「ほうおう座流星群」の光学観測結果から、流星群の親天体である彗星の活動の歴史を明らかにしました。この流星群は、1956年に第1次南極地域観測隊がインド洋上で発見したものですが、それ以降出現はありませんでした。2014年に再出現するとの予報に基づき観測を試みた結果、実際に活動を検出することに成功しました。さらに1956年と2014年の流星群の活動度を比較することで、親天体であるBlanpain彗星が、20世紀初頭には地球から彗星として観測されなかったものの、弱いながらも彗星として活動し、流星群のもとになるダストを放出していたことを明らかにしました。この結果は、彗星、小惑星、流星体等の太陽系小天体の相互関係や進化を研究する上で重要な知見となります。