• 研究成果

アルマ望遠鏡、遠方銀河団で進む星の少子化の原因をとらえた

アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で観測した、94億光年かなたの銀河団XMMXCS J2215.9–1738
アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で観測した、94億光年かなたの銀河団XMMXCS J2215.9–1738。アルマ望遠鏡が見つけたガスに富む銀河を赤色で表示し、さらに白丸で囲んでいます。これらの銀河が、銀河団の中心部(画像中央部)には存在しないことがわかります。 画像(298KB)

国立天文台の林将央(はやし まさお)特任助教と東北大学大学院理学研究科の児玉忠恭(こだま ただゆき)教授、東京大学大学院理学系研究科の河野孝太郎(こうの こうたろう)教授を中心とする研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、地球から94億光年の距離にある銀河団内にガスを豊富に含む銀河を17個発見しました。およそ100億光年という遠い距離において、ガスの豊富な銀河が一度にこれほど多く発見されたのは、今回が初めてのことです。また、ガスが豊富な銀河が銀河団の中心部に存在せず、ガスが豊富な銀河は他の銀河に比べてより最近銀河団に加わったことも明らかになりました。これは、銀河団内に銀河が引き寄せられる過程でガスを失い、星形成が抑制されることを示唆するものです。銀河は宇宙の歴史の中で次第に星形成活動が低下してきたことが明らかになっていますが、今回の成果は、銀河が銀河団に飲みこまれる過程と星形成活動の低下が密接な関係を持っていることを明らかにしたものといえます。

この観測結果は、2017年5月発行の米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に掲載されました。

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