• 研究成果

大学の天文台がタッグを組んで超新星の謎を解明

図1
広島大学1.5メートルかなた望遠鏡で取得された超新星爆発SN 2012dnの星野画像。画像中央にSN 2012dnが見えています。また、超新星の存在している母銀河ESO 462-016が左側に見えています。この銀河までの距離は、1億3000万光年と知られています。超新星はただの点源で、膨張で広がっていく姿を捉えることはできませんが、明るさや色などの変化を追うことが可能です。

甲南大学理工学部物理学科の山中雅之(やまなかまさゆき) 平生太郎基金研究員を中心とする研究グループは、国立天文台が企画する光・赤外線天文学大学間連携(注)を通じた共同研究によって、「限界を超えた超新星」の爆発前の姿を明らかにしました。 研究グループは、大学等が持つ多数の天文台が共同で実施した徹底観測によって、「限界を超えた超新星」から通常では見られないような非常に強い赤外線が放射されていることを捉えました。詳細な解析の結果、この赤外線放射は爆発する前の天体からの放出物に由来していることが分かり、長年未解決であったこの種の超新星の起源天体の正体を明らかにすることができました。

詳しくは、山中雅之(甲南大学理工学部・平生太郎基金 研究員)の研究グループが、正体不明だった 『限界を超えた超新星』の 起源を明らかにしました。(甲南大学)をご覧ください。

注:光・赤外線天文学大学間連携
「大学間連携による光・赤外線天文学研究教育拠点のネットワーク構築」事業の略称。 大学共同利用機関である国立天文台と9大学が連携し、国内外にある中小口径望遠鏡を有機的に結びつけて、突発天体等の即時観測、連続観測を行うことで最先端共同研究の推進と大学における天文学教育を促進する事業。平成23年(2011年)より実施している。

図2
光・赤外線天文学大学間連携に参画している各大学の望遠鏡群。これらのうち本研究においてSN 2012dnの徹底観測に参加した観測機関は、国立天文台岡山天体物理観測所、石垣島天文台、広島大学、鹿児島大学、北海道大学、東京工業大学、名古屋大学、兵庫県立大学、京都産業大学です。また、大阪教育大学も観測に参加しました。

本研究成果は2016年5月18日に、『日本天文学会欧文研究報告(Publication of the Astronomical Society of Japan)』オンライン版に掲載されました。(Yamanaka et al. “OISTER optical and near-infrared observations of the super-Chandrasekhar supernova candidate SN 2012dn: Dust emission from the circumstellar shell”

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