• 研究成果

アルマ望遠鏡が描き出した大質量星団の複雑な誕生現場

茨城大学の樋口あや研究員を中心とする研究グループは、アルマ望遠鏡を用いて巨大な星が生まれつつある領域IRAS 16547-4247を観測しました。その結果、原始星から噴き出すガス流が少なくとも2つあることがわかりました。これは、この領域に生まれたての星が少なくとも2つ潜んでいることを示しています。またメタノール分子が放つ電波の観測により、ガス流が周囲のガス雲を押しのけて広がっていく様子が「砂時計型」の構造として明瞭に描き出されました。このような構造が大質量星の形成領域でメタノール分子の観測によって見つかったのは初めてのことです。小質量星に比べて大質量星の形成領域は地球から遠くに位置し、また大質量星は複数の原始星が密集して存在する複雑な領域で生まれるためこれまで詳細な観測が困難でしたが、高い解像度を持つアルマ望遠鏡によりその誕生環境の一端が明らかになってきました。

IRAS 16547-4247の周囲のガスの分布を表した想像図
IRAS 16547-4247の周囲のガスの分布を表した想像図。中心にある高密度ガス雲の中に大質量原始星が複数あると考えられます。また、中心部から上下と左右にガス流が噴き出し、周囲のガスが押しのけられて風船のような構造が作られています。過去の観測で見つかった細長いガス流も描かれています。 オリジナルサイズ(2.9MB)

この観測結果は、Higuchi et al. “IRAS 16547-4247: A New Candidate of a Protocluster Unveiled with ALMA” として、2015年1月発行の米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に掲載されました。

詳しくは、アルマ望遠鏡が描き出した大質量星団の複雑な誕生現場をご覧ください。

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